【表題】 堆肥化など固形物の処理方法−セメント製造などへの燃料利用

【著者名】 澤村篤
【所属】 (独)農研機構 近畿中国四国農業研究センター
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュア・マネージメント
【巻】 デイリーマン臨時増刊号
【頁】 60−62
【要約】 @ 従来、鶏ふん、豚ぷん、牛ふんなどの家畜ふんは、そのほとんどが堆肥化により肥料として利用されてきたが、受け入れ農地に限界がある地域では、畜産農家内に滞留する問題も生じており、家畜ふんの燃料化も検討される。CO2の削減に貢献しながら継続・安価に利用できる代替燃料として家畜ふん堆肥がセメント業界から注目されるようになった。A 現在、セメント業界では石炭代替燃料として木クズを中心としてバイオマス燃料の利用拡大を行っているが、最近は需給がひっ迫傾向にあり、木クズ以外のバイオマス燃料の探索を行っていた。B 家畜ふんは乾燥状態においては有用な発熱量を持つことは知られていたが、水分が多い、塩素濃度が高い、また悪臭を発生するなどの理由で、これまで工業用燃料として利用されることはなかった。C ここでは、家畜ふん堆肥の発熱量と塩素濃度に関して説明するとともに、セメント製造工程で利用されている事例を紹介する。【家畜ふん堆肥の発熱量と塩素濃度】採卵鶏、肉鶏、乳牛、豚の生ふんの含水率は32〜80%の範囲にあり、含水率が高いと燃焼の過程で水分を飛ばす必要があるので、肉鶏の含水率32%がかろうじて燃料価値を持つが、他はこの含水率では全く燃料価値がない。そこで、堆肥化を行って含水率をさげるのであるが、堆肥化の過程で乾物当たりの発熱量は必ず減少する。一方、塩素濃度は一般に増加する。家畜ふんの燃料化に際して、脱塩や乾燥などの調整が必要となる。【セメント製造用燃料として豚ぷん堆肥に着目】鶏ふんや乳牛ふんの場合、固液分離を行う事例は極めて少なく、固液分離機は浄化処理施設を併設する養豚業に多く設備されている。養豚2事例において、固液分離工程を経た豚ぷん固分は塩素濃度が720〜2,600mg/kg乾物まで低減されて目安を満たしていた。【豚ぷん堆肥のセメント製造用燃料への利用に向けて】塩素濃度が4,400mg/kg乾物と高い余剰汚泥を除けば、含水率を下げることでセメント製造用の燃料として利用できる。【セメント製造用燃料として堆肥の位置付け(参考)】セメント業界では、約7,000万t/年のセメントを国内で製造しており、燃料としての石炭使用量はおよそ1/10の約700万t/年が使用されている。さらに石炭使用量の1/10が代替燃料として利用可能と考えられる。ここで、堆肥の発熱量は石炭の1/2が目標となっているので、140万t/年の堆肥が計算上燃料化で利用可能となる。この数値は、現在、地域的に余剰となっている堆肥の全量をはるかに超える量と考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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