【表題】 戻し堆肥の利用と塩分濃度

【著者名】 高橋朋子
【所属】 群馬県畜産試験場
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュア・マネージメント
【巻】 デイリーマン臨時増刊号
【頁】 56−57
【要約】 群馬県畜産試験場において戻し堆肥を繰り返し使用し、その変化について調査した。【戻し堆肥の製造と利用】試験場内から牛ふんは1ヵ月で174t出る。これに水分調整材として戻し堆肥16tを混合し、水分を約70%に調整する。底部からの強制通気とロータリ式かくはん機がついた発酵施設で5〜6週間堆肥化する。発酵が終了した堆肥99t(水分50%)を天日かくはん式乾燥施設で約1週間乾燥すると64t(水分23%)の乾燥堆肥ができる。できた乾燥堆肥の内36tを牛舎の敷料で使い、16tを堆肥化の水分調整材として利用する。戻し堆肥の利用によりオガクズ使用量は約半分になり、堆肥生産量も減少した。【物理的な性状の変化】戻し堆肥を繰り返し利用して堆肥を製造すると、約1年後には同じ容積の堆肥の重さは1.4倍になる。また、堆肥の吸水力も4/5に低下する。その結果、通気性が悪くなり堆肥の発酵が低下した。戻し堆肥を利用し始めた当初は水分を70%に調整すれば順調に発酵したが、戻し堆肥堆肥利用1年後には、70%に調整すると排汁が発生し通気パイプが詰まり発酵温度も上がらなくなった。そこで、戻し堆肥の混合量を約40%増加し、水分68%とすることで発酵が順調に進むようになった。【塩分濃度】戻し堆肥利用前と利用開始から1年半後で、堆肥中に含まれる塩分濃度を表す電気伝導度(EC)は4.6から6.4mS/cmと1.4倍に上昇した。肥料成分の窒素は1.8%から2.1%で1.1倍、リン酸は1.5%から2.4%で1.6倍、カリは2.6%から4.6%と1.7倍に上昇した。【上手な使い方】@ 戻し堆肥は塩分濃度が高いが、その高い肥料成分を考慮して適正量を施用すれば、土壌の塩分濃度を上げることなく、化学肥料を削減した栽培ができる。A 例として作物に必要な施肥量を10a当たり窒素、リン酸、カリ20kgずつとした場合、戻し堆肥開始前の堆肥塩分濃度が低い堆肥は10aに1,550kg施用する。一方、戻し堆肥利用1年半後の堆肥は肥料成分が濃くなっているので、施用量は900kgと少なくなる。堆肥から窒素2.1kg、リン酸10kgが供給され、化学肥料は窒素17.9kg、リン酸10kaを施用すれば必要な肥料成分が供給され、カリは化学肥料で施用する必要はなくなる。B 戻し堆肥施用による土壌ECの上昇は開始前の堆肥で0.14mS/cm、戻し堆肥1年半後で0.12と、土壌の過剰なECの上昇は起きなかった。C このように塩分濃度が高くなった戻し堆肥でも、堆肥に含まれる肥料成分を考慮して適正量を施用すれば土壌への影響もなく化学肥料の削減もでき、堆肥の有効利用が可能となる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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