【表題】 大腸菌など有害微生物の死滅

【著者名】 花島大
【所属】 (独)農研機構 北海道農業研究センター 酪農研究領域
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュア・マネージメント
【巻】 デイリーマン臨時増刊号
【頁】 64−67
【要約】 【牛ふん中の病原菌】堆肥中の病原菌を十分に死滅させ、病原菌による汚染のリスクを十分に低減させる必要がある。そこで本稿では、海外のガイドラインの事例を織り交ぜつつ、安全な堆肥というものについて考えていきたい。【安全な堆肥とは】(1) 堆肥化過程で発生する温度は適正な管理をすれば通常60〜70℃程度まで、場合によればそれ以上にまで上昇する。大腸菌なら55℃で20分程度、チフス菌なら55〜60℃の温度に30分程度さらすことで死滅すると報告されている。よって堆肥の熱をうまく利用することで、理論的には大部分の病原菌を死滅させることが可能となる。(2) しかし、堆積物全体の温度を精密に管理することは非常に難しい。外気と接触する堆肥の表面や空気の通りにくい中心部、および水分調整が十分でなく堆肥の底部から排汁がにじみ出してくるような部分などでは死滅に十分な温度の上昇が期待できない。【切り返しの重要性と堆肥の管理】(1) そこで、切り返しの作業が必要となる。堆肥をよくかき混ぜフカフカにし、未分解の有機物を多く含む堆肥を好気性菌が食べやすいように空気に触れさせることで、未分解の有機物が分解され、堆肥は再び温度が上昇するようになる。この作業を繰り返すことで、堆肥のより多くの部位が長い時間高温にさらされるようになる。(2) また、好気性菌が堆肥中の有機物を効率よく分解してくれるので、仮に病原菌が堆肥の中に残ってしまったとしても、病原菌が食べることができる餌(有機物)は既に残り少なくなっており、生き残りにくくなるという利点もある。(3) アメリカ環境保護局のガイドラインでは55℃以上の温度を少なくとも3日管継続させること、イギリス規格協会では65℃以上の温度を7日間保持し、全ての堆肥が大腸菌の死滅条件にさらされるように十分に切り返すことを推奨している。(4) 比較的高水分である牛ふん(約85%前後)の堆肥化では、温度上昇のために十分な量の水分調整材の確保が必要になる。(5) 病原菌の残存は、未熟な堆肥や、不適切な管理で生産された堆肥で特に問題となる。そのような状況を改善する方策として、@堆肥の水切れをよくするために堆肥盤に排水用の溝をつくり、堆肥からの排汁を促進することで堆肥の水分を低下させる、A家畜ふんと分解されやすい有機物が豊富な食品副産物などを混合することで堆肥の温度上昇を促進する方法、B石灰窒素など殺菌効果のある資材を堆肥原料へ添加する処理−などが報告されている。【堆肥の温度測定】
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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