【表題】 安全な牛糞堆肥をつくるために−雑草の種子の死滅

【著者名】 羽賀清典
【所属】 (財)畜産環境整備機構
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 76−78
【要約】 乳牛の飼料などには雑草種子が混入し、それがふん中に排せつされ、さらに堆肥に残留する可能性がある。その雑草種子は、堆肥を施用するとそのまま圃場で発芽・生育・繁殖し、牧草の生産や、放牧地の生態に悪影響を与えることになる。このようなふん中の雑草種子を、堆肥化の発酵熱によって死滅させることについて述べる。【堆積物の表面と内部の温度の違いと種子の死滅】堆積方式で堆肥をつくる場合、内部の温度は高くなるが、表面は大気に触れて温度が下がる。前年産種子を埋設した5〜6月の試験では、表面が50℃未満、上層と中層は60℃を2日間持続した。この場合、60℃の上・中層では埋設した雑草種子の発芽は0%となり死滅したことが分かる。しかし、50℃未満の表面では死滅せず、むしろ対照区(堆肥に埋設していない種子)よりも発芽率が増加する傾向が見られた。【堆積物の層による温度の違いと種子の死滅】生牛ふんとオガクズの混合比10:2で水分が60.6%の高い場合と、混合比10:3で水分が58.2%の低い場合では、混合比10:2の最高温度52.7℃では種子の死滅はあまり期待できないが、混合比10:3(上層56℃、中層61.5℃、下層54℃と高くなった)ではどの層でも発芽率は0%で、種子が死滅している。54℃以上の温度が3〜4日間続いているので、種子の死滅効果が得られている。このように堆肥の最高到達温度によって、雑草種子の死滅効果を判定することができる。【加熱温度と種子の死滅】イチビ以外の種子は55℃で72時間、60℃では24時間加熱すると生存率(発芽種子と休眠種子の割合)が0となる。イチビを死滅させるには55℃で120時間、60℃では30時間加熱する必要がある。順調に発酵している堆肥は、55℃以上が5日以上、60℃以上が2日以上続くので、堆肥の発酵熱によって雑草種子を死滅できる。【スラリーの温度と加温時間と種子の死滅】@ 50℃では1日間でほとんどの雑草種子が死滅した。45℃以下ではワルナスビを始めいくつかの種子が生存し、35、40℃では多くの種子が生存し、50℃では1日以上、45℃では9日以上処理することによって種子を死滅させることができる。A スラリー処理では堆肥化よりは低い温度で雑草種子を死滅させることができるが、液状のスラリーを50℃以上の温度に維持するには、それなりの発酵槽、貯留槽や撹拌(かくはん)・ばっ気・加温装置が必要になる。また、アレチウリの生存率は高く、特別な処理が必要とされた。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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