【表題】 耕種の立場から見たニーズを捉えた堆肥

【著者名】 棚橋寿彦
【所属】 岐阜県農業技術センター 環境部
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 84−88
【要約】 【求められる品質と利用の問題点】【耕種農家のニーズ】【堆肥に含まれる肥料成分】[肥料成分の実態]@ 乳用牛ふん堆肥の標準偏差は、その含量に対して半分程度もの値となっているものも少なくない。この成分含量に相当な幅があることに注意が必要である。また、水分を含んだ現物当たりとなるとさらに幅が大きくなる。耕種農家では乳用牛ふん堆肥の個別の成分含量に応じて肥料設計を考えて行く必要がある。A 施用年に効く窒素肥効(即効性、緩効性)は全窒素の約10%にすぎず、カリ(特に高い)やリン酸の含量に比べて大幅に少なくなる。[個別堆肥の肥料成分の変動][肥料成分を加味した利用方法](1) 2008年の肥料高騰以来、家畜ふん堆肥を肥料の代替として活用することに注目が集まっている。近年、堆肥の肥料成分を簡易測定する方法が開発されてきた。また、堆肥中の窒素が施用年にどの程度効くかが分かる方法が開発されてきた。(2) 我々が開発した方法は「堆肥カルテシステム」でウェブ検索すると、試すことができる。堆肥の肥料の肥料成分を適正に活用するための計算方法は次の通り。@堆肥の肥料成分を把握する A利用する品目での基準施肥量を超えない範囲で施肥施用量を決定する(筆者らが開発した方法では、窒素は施肥から1ヵ月間に有効な速効性窒素と、1〜3ヵ月までに有効な緩効性窒素を把握することができる)B基準施肥量から堆肥から供給される成分量を差し引き、化学肥料の施用量を決定する (3) 堆肥の肥料成分量をとらえて減肥することにより、化学肥料費が化学肥料のみの場合の2万2千円から1万1千円に抑えることが可能となる。これからは、堆肥を使えば化学肥料が削減でき、肥料費が安くなるということがセールスポイントになるはずである。【地力向上や物理性改善へのニーズ対応】@ 従来、牛ふん堆肥施用に求められる最大のニーズは物理性改善、あるいは地力向上であったと考えられる。ただし、地力維持や物理性改善を狙い、施用量を多くすると、場合によっては肥料成分量が多くなり過ぎることが想定される。A このようなことを防ぐには、肥料成分が低い堆肥を製造することが求められてくる。このようなニーズに対応する方法としては、オガクズやもみ殻といった肥料成分の少ない副資材を用いて堆肥を製造する方法がある。B また、新たな試みとしてスクリュー型固液分離装置での処理時に水を加えて分離することにより、溶けやすい成分を除去した低塩類化堆肥の製造も研究されている。特に施設園芸や園芸培土利用をターゲットとした検討が行われている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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