【表題】 牛糞堆肥の特徴

【著者名】 小柳渉
【所属】 新潟県農業総合研究所 畜産研究センター
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 89−93
【要約】 【堆肥の施用効果】【牛ふん堆肥の有機物分解特性】牛ふん堆肥は総じて易分解性有機物が極めて少なく、難分解性有機物が多い。バーク堆肥や腐葉土に近い分解特性である。この特性により、易分解性有機物による土壌微生物活性化効果や急激な分解による生育障害のリスクが低く(水田に施用した場合の異常還元も少ない)、土壌への有機物供給、すなわち物理性改善に優れている。今回示した牛ふん堆肥は流通しているものや腐熟の進んだもので、生ふんに近い未熟なものはこれらより多少、易分解性有機物が多いものと考えられる。【肥料成分の特徴】牛ふん堆肥は、カリ含量は豚ぷん堆肥と鶏ふん堆肥より若干低い程度であるが、リン酸含量は大幅に低く、カリ含量と同程度である。牛ふん堆肥はリン酸とカリのバランスが良く、使いやすいリン酸・カリ肥料といえる。いずれの家畜ふん堆肥も全窒素含量は低くはないが、ほぼ窒素肥効に相当する培養無機態窒素はリン酸含量やカリ含量に比べて低く、特に牛ふん堆肥では大幅に低い。[肥料としての使い方]牛ふん堆肥の肥料成分を有効に活用するには、リン酸肥料の代替として利用し、不足する窒素成分(無機態窒素)を化学肥料で補う。[ケイ酸]水稲は肥料3要素(窒素、リン酸、カリ)以外にケイ酸を必須元素として大量に吸収する。ケイ酸含量は鶏ふん堆肥や豚ぷん堆肥では低いのに対し、牛ふん堆肥では高く、特にもみ殻乳牛ふん堆肥では平均で乾物当たり16%も含まれている。稲わら収集水田ではケイ酸の収奪量が35〜50kg/10aと他の肥料成分に比べて非常に多い計算結果であった。牛ふん堆肥は稲わら収集水田に最適の資材といえる。【窒素肥効パターン(AD可溶有機物と牛ふん堆肥)の特徴】【塩類・カリ成分の特徴】(1) 家畜ふん堆肥は概して塩類濃度(水溶性の陽イオンと陰イオンの合計量)が高いことから、ハウス栽培においては、土壌への塩類集積の恐れから、利用を避ける傾向にあり、堆肥の塩類濃度を低減させることが望まれている。しかし近年、「家畜排せつ物法」や「戻し堆肥」の利用により、今まで低いとされていた牛ふん堆肥でも塩類濃度は(肥料成分全体としても)高くなりつつある。(2) そこで、牛ふん堆肥をカリ肥料として見ると、堆肥中カリウムは、@肥効は化学肥料と同等であり、Aカリウムの一部が水不溶性であり、B主成分カリウムに比べ副成分(特に硫酸イオン)が少ない−という特徴がある。従って、家畜ふん堆肥は土壌ECを上昇させにくい(塩類を集積させにくい)カリ肥料であり、むしろハウス栽培に適していると考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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