【表題】 スラリー処理と液肥利用

【著者名】 高橋圭二
【所属】 酪農学園大学循環農学類 農業工学研究室
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 122−127
【要約】 乳牛ふん尿のスラリー処理では処理液は専用の機械での運搬や施用が必要で、こうした機械のない畑作や水田農家では利用が難しい。自家の草地へ肥料として散布できる草地や圃場が確保できることが低コスト処理・利用の前提となる。ここでは、スラリーを肥料として利用するための処理・利用法について解説する。【搬出方法】@ スラリー状のふん尿を牛舎から搬出する方法には、小型作業機にバケットやタイヤスクレーパなどを取り付けて除ふんする方法や、バーンスクレーパ、バーンクリーナを用いて搬出する方法がある。A その他に、自然流下式や、牛舎内通路の地下にふん尿ピットを設置し通路にすのこ状のコンクリートスラットを敷いたスラット方式がある。スラット方式はオランダなどでは一般的であるが、国内では事例が少ない。【貯留施設】地下ピット、スラリーサイロ、シートラグーン 【スラリーの処理方法】長期貯留、固液分離、ばっ気処理 【処理液(液肥)の利用方法】[利用方法と問題点]スラリーを草地や飼料畑への肥料として利用するためには、散布量と散布時期を厳守する必要がある。そのため、散布利用する草地の植生調査や土壌分析をしておく必要がある。また、散布可能量の範囲であっても、土壌への浸透可能量以上に散布すると表面流出を引き起こすので数回に分けて散布するなどの対応が必要になる。[草地、畑作への散布利用]草地は牧草の根が既に繁茂しているので、長期貯留したスラリーから、ばっ気処理をした液肥まで散布することができる。しかし、種から育てる畑作での利用では肥料成分の流出や種バエの発生、有機酸による発芽障害などを引き起こすため、ばっ気処理や嫌気発酵処理した液肥を散布する必要がある。[臭気を抑えた散布方法]スラリーを衝突板方式のスラリースプレッダで散布すると散布液が霧状となって飛散するため、臭気の強いスラリーでは散布時も散布後も臭気の拡散が大きな問題となる。そこで臭気を抑えた方法として、バンドスプレッダ、トレイリングシュー、浅層インジェクタなどの利用がある。[高能率散布]スラリー散布では、圃場での散布とタンクへのスラリー充てんにほぼ同じ時間がかかるので、草地の中にもスラリー貯留施設を設置し時間のある時に運搬することで充てん時間の短縮を図ることができる。また、タンクを持たずにホースをつないで、貯留槽から直接散布機にスラリーを送るアンバライカルシステムも欧米で使われており、根釧地域で試験が実施されている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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