【表題】 公共下水道利用による畜舎排水の処理

【著者名】 押田敏雄
【所属】 麻布大学獣医学部獣医学科 衛生学第一研究室
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 145−150
【要約】 今回、公共下水道の利用を明らかにするために、酪農排水を対象にアンケート調査を行い、現在のふん尿処理方法、その方法の満足度などについて、集計・検討した。さらに、排水処理に公共下水道を利用することについて、神奈川県の行政機関に聞き取り調査を行った。【調査の方法】アンケートは総数で85通発送し、29通回収できた。[調査内容]経営規模、ふん尿処理の方法、公共下水道利用の有無、年間の上下水道代および電気代、現行の処理法についての利点と欠点など【アンケートの結果】酪農家29戸の内、下水道を利用しているのは21戸(72%)[下水道導入のきっかけ]作業の効率化のため:29%。行政指導が入ったため:22%、これは悪臭や衛生害虫などの問題が近辺住民からの苦情として顕在化した結果と思われる。次いで、経費削減:12%等[下水道を利用していない理由]近くに下水道の本管が通っていない:89%、導入に掛かる経費が高い:11% [下水道利用時の建設費]最高2千万円以上、最低50万円以下と幅が広い。1/3が地方公共団体などから助成を受けた。【公共下水道利用時の前処理(神奈川県内の地域)】【下水道を利用した家畜ふん尿処理を行うためには】@ 付近に公共下水道の本管が施設されているかどうかが大きなポイントとなる。本管がなければ下水道利用の道は完全に断たれる。A 行政機関への働き掛けと理解・協力がなければ実施は絶望的である。【まとめ】@ 現在の処理方法に対する満足度に大きな差が見られた。A 現在の処理方法に感じている利点・欠点に大きな差が見られた。B 公共下水道を利用している酪農家の中でも、放流方法や料金設定に地域差が見られた。C 公共下水道を利用することにより、疾病の現象を実感した事例が見られた。D 行政側は、処理施設の能力を高めなければならなくなるため、畜産系排水をあまり歓迎していない。E 行政側が、厳しい利用条件を提示している例や、利用を拒絶している例が見られた。F 酪農家側にも、行政が指定する前処理を行っていないなどの問題例が見られた。☆ 公共下水道を利用したふん尿処理は、これを上手に利用することで、環境問題、衛生問題、ひいては労働問題が一挙に解決する可能性を秘めている。さらに、少々乱暴な推論であるが、宮崎県で、もし公共下水道が完備(当時52%)していて、畜舎排水の処理を公共下水道で行うことが可能であれば、2010年に発生した口蹄疫の感染や被害の拡大をもっと素早く阻止できたかもしれない。つまり、畜舎や家畜への消毒がかなり大胆に実行することが可能だったように思われる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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