【表題】 畜舎汚水処理施設曝気槽からの飛沫および微生物の飛散に対する防風ネットの抑制効果

【著者名】 田中康男;山下恭広;荻野暁史
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所 畜産環境研究領域
【発行年】 2012
【雑誌名】 家畜衛生学雑誌
【巻】 38−3
【頁】 65−72
【要約】 @ 畜舎汚水浄化施設内曝気槽からの微生物飛散を抑制する簡易な手法を確立するため、ラッセル織防風ネットを曝気槽周囲に高さ2mの塀状に設置する効果を評価した。A なお、設置するネットの高さが高いほど効果的と考えられるが、高くなるほど設置時の作業や補修が困難になる上に風圧を強く受けるようになる。無理なく設置できる高さとして2m程度までが限界と考え、高さ2mのネットについて評価を行った。【材料と方法】試験には、幅2mのポリエチレン製防風網を使用した。このネットは耐用年数は3〜5年とされ、ラッセル織り(レース網と同様の編み方)なので飛沫抑制効果が高く、また裂け目ができた場合も拡大し難いという特性もあり、効果面・耐久性面で最適な資材である。【結果と考察】@ 試験を実施したばっ気槽の槽底部から微細気泡を散気する垂直エアレーター(11kW、3台)による飛沫及び大腸菌の舞い上がり高さは、1m未満と推定された。A 同ばっ気槽において水車状のパドルを水平面で回転させて、液の撹拌と同時に空気を溶解させる水平エアレーター(1.5kW、6台)からの飛沫は、少なくとも高さ1m、距離1m程度までに到達していることが確認された。(両エアレーターによる設計曝気強度は約1.3?/?・時と標準的なものである)B 1mm目合いのネットでは、曝気槽周囲12mまでの飛沫飛散を格段に低減できることが確認された。2mm目合いではこの効果は確認できなかった。また、1mm目合いネットは、曝気槽から空中に放出される大腸菌が周囲に飛散することを抑制する効果も見られた。C 以上のことから、1mm目合いネットの曝気槽周囲への設置は、曝気槽からの有害微生物飛散リスク低減に効果があることが示唆された。D ただし、1mmの場合風圧を強く受けるため、支柱の強度、および支柱への固定法をどうするかが重要となる。ネットの外周部の上下に2本のロープで巻き込むように結束バンドでネットを支柱に固定する改善をしたところ破損は生じなくなった。E 鉄パイプの代わりにFRPロッドなどの資材を用いることも検討の余地がある。なお、強風時でも、ネットそのものには特段の破損は生じなかったことから、ネットの強度かなり強い言える。F 今回の飛沫および微生物の飛散量に関する評価は、感水紙および落下法による相対的な評価であり、絶対量に関しては不明である。エアロゾルまでを対象として、定量的な評価を行うことも重要と考えられるが、ばっ気槽周囲のエアロゾル飛散量を計測時の風向・風速も勘案しながら評価するのは現実的には非常に困難である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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