【表題】 UASBメタン発酵プラントによる豚舎汚水処理性能の長期安定性の検証

【著者名】 田中康男;山下恭広;荻野暁史
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所 畜産環境研究領域
【発行年】 2013
【雑誌名】 日本畜産学会報
【巻】 84−4
【頁】 467−473
【要約】 @ UASB(上向流嫌気性汚泥床)法メタン発酵リアクターは、有機性排水の省エネルギー的な処理プロセスとして、多くの廃水処理分野に導入が進んでいる。A 本研究では、豚舎汚水処理試験用に設置し、以後連続運転を行ってきたUSBA法メタン発酵実証試験プラントについて、稼働開始から10年間の有機物除去性能およびバイオガス発生量の変化を把握し、性能の長期的な持続性を検討した。【材料と方法】@ 畜舎汚水を、UASB法メタン発酵リアクターによる前処理と好気性リアクターによる後処理の2段階処理方式で処理することを想定して、UASBリアクターの長期的な性能持続性を2002年から2012年にわたり約10年間検証した。A UASBリアクターは、高さ3.6m、容積6.6?で、下半分は微生物集塊(グラニュール)の堆積している円筒形部分(直径1.5m)、上半分は気液固分分離装置の設置された角形部分(1.5×1.5m)になっている。B リアクターに固液分離後の豚舎汚水を投入し、易分解性有機物の指標であるBODの除去性能とバイオガス発生能を把握した。発生したバイオガスは出力6kWのコジェネレーション発電機で利用した。C 水理学的滞留時間は1.2〜1.7日、リアクター内上昇流は1.4m/h、循環比は14〜19倍とした。【結果および考察】@ リアクター内水温は、外気温に影響され8〜31℃の間で変化した。BODは、原水が1895±1117mg/L(平均±標準偏差)(n=376)、処理水が886±634mg/L(n=390)で、平均除去率は53%であった。A 各年の夏季(6、7、8月)のBOD除去率は50〜80%であった。これに対し、最終年(2012年)夏季のBOD除去率は64±13%で、稼働から10年後も有機物除去率は安定して維持されていた。B 除去BOD量(ΔBOD)あたりバイオガス発生量は、各年の夏季でみると、0.1〜0.8?/kg-ΔBODであった。2012年夏季では0.2〜0.7?/kg-ΔBODであったことから、10年目もそれ以前と同程度のガス発生能が維持されていることが確認された。C リアクター内の汚泥は大部分がグラニュールで占められ、2012年のグラニュールの外観は2002年と同様、表面が平滑な球状または紡錘状であった。また、運転終了時のグラニュール径は大部分が1〜2mmであり、良好なグラニュールが維持されたことが示唆された。D 以上より、UASBリアクターによる豚舎汚水のメタン発酵は10年間安定して継続できたと結論された。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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