【表題】 土壌pH調製用硫黄粉末を利用した畜舎排水の脱窒処理実証試験

【著者名】 長谷川輝明;杉本清美;山下恭広;田中康男
【所属】 千葉県畜産総合研究センター;(独)農研機構 畜産草地研究所
【発行年】 2013
【雑誌名】 日本畜産学会報
【巻】 84
【頁】 459−465
【要約】 土壌pH調整用資材である粉末硫黄を利用した硫黄脱窒法について、養豚農家で簡易構造の脱窒リアクターを用いて実証試験を行い、リアクターの性能評価を行った。【材料と方法】[実証試験場所]肥育豚換算1500頭を飼養する養豚農家において試験を実施した。豚舎構造はふん尿分離式である。浄化処理施設へ流入する汚水量は16.5?/日で、連続式活性汚泥法により汚水処理を行っている。この施設の最終沈殿槽の流出水を試験の原水とした。[硫黄資材およびリアクター]ブルーベリー栽培用に市販されている粉末硫黄(硫黄分99%以上)を使用した。@ 上部開放式の角型で液部有効容積約23Lのリアクターを用い、水深15cmとし、底面全体に親水化処理した粉末硫黄を乾燥重量で5kg(見かけ容積約5L, 層厚3.3cm)充填して、原水を一端から他端へ自然流下で流出させた。A このリアクターはカラム型リアクターのような硫黄層保持用多孔板が不要のため構造は単純で、維持管理も容易と予想される。【結果と考察】@ 原水として養豚汚水の活性汚泥法処理水をNOx-N負荷量約0.6kg-N/?・日で流入させたところ、脱窒率は21日目で約52%に達し、水質汚濁防止法の規制項目である硝酸性窒素の一律排水基準100mg/Lまで低下し、一定の目標は達成した。ただし、原水の水質変動が激しかったために、安定して100mg/Lをクリアーするための適正条件までは明確にできなかった。A 脱窒に伴い硫酸態硫黄の生成も生じた。アンモニアの硝化は見られなかったことから、リアクター液中に溶存酸素は存在しなかったと考えられ、この硫黄酸化は脱窒に由来することが示唆された。以上の結果、本リアクターは畜産現場での簡易脱窒処理へ利用可能と推定された。B 本試験ではリアクターの構造上、資材層の表面だけが脱窒に寄与した可能性も否定できない。リアクター内の構造を上部仕切り板と下面から立ち上げる仕切り板を必要枚数交互に設置し、液が硫黄層内部を上下迂流方式で流下するようにすればさらに脱窒性能の向上が期待される。C 畜産分野の排水処理では、低コストで省力的であることが必須である。本技術では特別な調整などが必要なく、次の3点の長所から、今後の実用化が期待できる。1)上部開放式であるため製作が容易である上に、脱窒によって硫黄が消耗した場合も上部から投入すれば良いので維持管理も容易である。2)横向流式のため必要に応じた増設が容易である。3)硫黄資材の層厚が薄くて済むので資材層の通気逆洗が容易である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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