【表題】 硫黄酸化脱窒細菌による畜舎排水窒素除去への微粉末硫黄の利用可能性

【著者名】 田中康男;長谷川輝明;杉本清美;山下恭広
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所;千葉県畜産総合研究センター
【発行年】 2013
【雑誌名】 日本畜産学会報
【巻】 84−3
【頁】 383−388
【要約】 畜舎排水の窒素除去を目的として、土壌pH調整用に流通している粉末硫黄(硫黄分99%以上)を利用した硫黄脱窒法を20℃の室内実験で検討した。この粉末硫黄は表面が疎水性であるため、そのまま水中に投入しても水面に浮上してしまい利用することができない。【材料と方法】@ この問題を克服するため、粉末硫黄1 kg をビーカーに投入し、水道水3 L と家庭用中性洗剤10mLを添加し、よく攪拌した。この処理により粉末硫黄は親水性となり水中で沈降するようになった。A この硫黄懸濁液全量を、直径8cm×高さ70cmのプラスチックカラムに投入した。カラム内の水深は60cm(硫黄層と水層の合計見かけ容積3L)、硫黄層厚は28cm(見かけ容積1.4L)であった。洗剤がほぼ完全に洗い出されるまでポンプで水道水を連続通水した。B 上記のように調製した脱窒リアクターの底部から,豚舎汚水の活性汚泥法処理水を、20日までは約360mL/日、それ以降は約700mL/日で通水した。20日以降の空塔容積当たりの水理学的滞留時間は4.3日,硫黄層見かけ容積当たり水理学的滞留時間は2日となる。リアクター最上部のノズルから流出する液を処理水として採取した。実験は20℃の恒温室で行った。【結果と考察】@ リアクター中の粉末硫黄の親水性は洗浄後もそのまま保たれ、再浮上は生じなかった。また、約40日の処理試験の間も性状に特段の変化はなかった。よって、一旦親水性に変化した後は界面活性剤の消失後も問題無く処理に利用できることが確認された。A 硫黄層見かけ容積あたりの硝酸態窒素負荷率は、実験開始当初は約0.05kg/?・日であったが,20日以降はおよそ0.1kg/?・日であった。B このリアクターに、約180mg/Lの硝酸態窒素を含む活性汚泥法処理後の養豚排水を、NOx-N負荷率約0.1kgN/?・日で流入させたところ、脱窒率が徐々に上昇し約40日で84%にまで達した。また、硝酸態窒素除去量が150mg/L程度以下であれば,脱窒後の中和は不要であった。C すでに流通している資材を投入するだけで脱窒が促進できる本技術は実用化が期待される。スケールアップの観点からは開口部の径をかなり小さくしなければならず、原水中の懸濁物による閉塞の可能性が高くなる。従って,支持板を使用せずに粉末硫黄をリアクター内に保持し、しかも処理対象液と粉末硫黄の十分な接触が図られる構造の確立が今後の重要課題である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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