【表題】 軽石を充填した低コスト脱臭装置

【著者名】 高橋朋子
【所属】 群馬県畜産試験場
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 169−171
【要約】 群馬県畜産試験場では、設置費用や維持費が安く、管理が簡単な脱臭装置の開発に取り組み、低コストな資材である軽石を用いた脱臭装置を開発した。【装置の仕組み】@ 脱臭装置に用いた軽石は、水分を約30%含み水分保持能力が高く、表面に小さい穴が空いていて微生物の住み所となりやすい資材である。また、槽に軽石を充てんしてもすき間があるため、全容積の半分は空気で、空気が通りやすい。Aふん尿処理施設から発生する悪臭の主体であるアンモニアは水に溶けやすいため、水分を含んだ軽石槽の下から悪臭空気を送り込むと、軽石に含まれる水分に溶けて空気中から除去される。B しかし、水中のアンモニア濃度が濃くなるとpHが高くなり、それ以上アンモニアが溶けなくなり脱臭能力が低下する。そこで、水中のアンモニアを酸化する微生物(アンモニア酸化菌)により硝酸に変わると水のpHが低くなり、また、アンモニアが溶けるようになり、継続して脱臭できる。C アンモニア酸化菌は軽石表面に生息しており、循環水の散水により、軽石を適度に湿らせ微生物の生息環境を整えると共に臭気物質を溶け込ませ微生物に供給される。【密閉型(ふん)発酵装置(発酵槽容量18?)から発生する高濃度の臭気に対応した軽石脱臭装置の概要】@ 面積10uの槽に粒径5〜10mmの軽石を1mの厚さに充てんする。発酵装置からは1千〜2千ppmのアンモニアを含め臭気が発生する。このアンモニア濃度は微生物に有害なのでブロワにより外気を取り入れて3〜5倍に希釈し、アンモニア濃度が400ppm(日平均)になるようにする。A 希釈された臭気は軽石槽の下の空間に毎分10?送り込む。脱臭装置通過後、アンモニア濃度400ppmの臭気がほとんどアンモニアを検出できなくなった。石を常に湿った状態にしておくために、30分に2分間だけ軽石上部から散水する。B 発酵装置から発生する臭気には多量の水蒸気が含まれているため、循環水は1日約50〜100L増加する。増加した循環水は、尿汚水浄化処理施設などで適正な処理が必要である。【低濃度臭気向け装置】【運転管理の留意点】軽石脱臭装置の脱臭の主役はアンモニア酸化菌である。アンモニア酸化菌が活躍しなければ脱臭はうまくいかない。アンモニア酸化菌の適温は20〜30℃で、40℃以上や10℃以下では活動ができなくなる。【まとめ】@ 軽石脱臭装置はアンモニア濃度の高い密閉型発酵装置にも、アンモニア濃度の低い開放型発酵装置にも対応可能である。軽石は通気性、保水性に優れた無機系の多孔質資材であり、アンモニア酸化菌にも好適な環境をつくり出せる。A 軽石充てん量1?当たり400g/日程度のアンモニア態窒素を処理することができる。また、充てんしてある軽石は既に実証試験連続7年を経過したがほとんど変化が起きないことから、長期間の使用に耐えられると考えられる。B 軽石は脱臭装置の資材として使われているロックウールと比較し数分の1の価格で利用でき、低コスト脱臭装置として畜産農家への導入もしやすい装置である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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