【表題】 酪農の糞尿処理にかかる経費

【著者名】 藤田直聡;畠山尚史
【所属】 (独)農研機構 北海道農業研究センター;竃セ治飼料 酪農サポートセンター
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 180−185
【要約】 ここでは、ふん尿処理にかかる経費についての試算を提示する。【ふん尿処理にかかる経費の試算の前提条件】@ 寒冷地かつ積雪地帯に立地し、フリーストール牛舎を用いている経産牛100頭の酪農専業経営の場合を考えてみる。A ふん尿量は、経産牛は1日1頭当たり64.3kg、育成牛は24.6kg、育成牛頭数は経産牛頭数の0.44とすると、年間のふん尿量は2,742t。B 水分調整材はオガクズ;業者から2,500円/?で購入する。水分率は、牛舎から搬出したふん尿は86%、オガクズは25%とする。なお、ここでは共同利用は考えず、個別に利用。C 堆肥舎およびスラリーストアの建設単価については農林水産省の経営指標を用いた。貯留期間は、積雪や凍結などにより圃場への散布ができない11月下旬〜4月上旬の141日を必要日数とし、耐用年数は法定耐用年数の機械7年、施設17年とした。D 人件費については作業は全て家族労働で行い、労働賃金を1,566円/時間。除ふん、敷料補充作業は7.04時間/頭とした。【試算結果】[堆肥]@ 機械費:牛舎から搬出に用いる小型のスキッドローダの減価償却費=取得金額(252万2千円)/法定耐用年数(7年)=36万円、堆肥切り返し・積み込み用のフロントローダとマニュアスプレッダの減価償却費はそれぞれ17万1千円と55万8千円。それぞれの修繕維持費は各減価償却費の1割を見積もった。A 堆肥舎必要面積:1,343u。堆肥舎の建設単価が2万5千円/uなので、建設費は3,357万5千円。減価償却費は、耐用年数が17年なので197万5千円。修繕維持費は減価償却費の1割で19万8千円。B 水分調整材にかかる費用は249万3千円。人件費=(704時間+2時間(切り返し)+30.4時間(堆肥積み込み散布))×1,566円/時間=115万3千円。C これらから、経産牛100頭規模の場合、ふん尿を高水分堆肥(水分75〜84%)に処理する経費は年間701万6千円となる。中水分(水分70〜75%)、低水分(70%以下)に処理する経費も同様に試算するとそれぞれ1,099万6千円、1,435万5千円となる。[スラリー]@ 減価償却費はスキッドローダ36万円、ばっ気ポンプ18万7千円、スラリースプレッダ225万9千円で、修繕維持費はその1割である。A スラリーストアの必要容積は7.512t×141日→1,059?。建設単価は1万2千円/?なので、建設費は1,270万8千円、減価償却費は74万8千円、修繕維持費は7万5千円。B 人件費=(704時間+13.7時間)×1,566円/時間=112万4千円 これらから、ふん尿のスラリー処理の経費は年間503万3千円となる。【まとめ】ふん尿処理を円滑に行うためには、収入、経費、生活費などを、しっかり整理して経営負担能力を把握し、その上で、それぞれのふん尿処理経費と照らし合わせながら検討する必要がある。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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