【表題】 堆肥利用、無農薬・無化学肥料栽培による資源循環型有機酪農(北海道 津別町有機酪農研究会)

【著者名】 三上隆弘
【所属】 (社)中央畜産会事業第二統括部(資金・経営対策)
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュアマネージメント
【巻】 デーリィマン臨時増刊号
【頁】 210−212
【要約】 @ 北海道網走郡津別町の5人の酪農家で組織する「津別町有機酪農研究会」は、2006年9月に国内初の有機畜産JASの認定を受け、JAS有機牛乳として認証を受けた「オーガニック牛乳」の販売をスタートした。A 有機酪農の基礎となる自給飼料生産には、家畜のふん尿、JAS有機基準に適合した有機肥料や土壌改良材のみを使用し、牧草やサイレージ用トウモロコシの有機栽培を行う。B 本稿では、研究会の代表である山田牧場が実践している堆肥化・尿処理とその活用方法から、適正で効率的なふん尿処理・利用方法を考える。C 1995年からの尿・汚水の河川への流出を防ぐことを目的に、家畜尿・汚水を土壌菌でばっ気・分解し、土壌菌群の塊である微生物活性液とする「自然浄化法リアクターシステム」(以下、ゆう水)を設置したのをきっかけに、山田氏は自然農法・有機農業に感心を持つようになった。【堆肥化技術】@ 堆肥化の促進を図るため、切り返し時に「ゆう水」を10tの堆肥に対し約100〜200 Lを散布することで、堆肥中の土壌菌群を増やす。A ゆう水の堆肥への散布により、切り返し回数を減らし、好気性・嫌気性発酵を行い、肥料成分の減少を抑えることができる。また、切り返し回数によって作物に合わせた堆肥をつくることができ、堆肥化にかかる労働時間を減少させる効果もある。B ゆう水は尿の微生物活性を高めたもので、土壌へ有機物と微生物群を供給し、土壌の微生物活性を早期に回復させる働きがある。畜舎内やその周囲、パドックなどに散布し悪臭などを軽減する効果もある。C 尿溝で分離された尿は、尿貯留槽に1次貯留し、「自然浄化法リアクターシステム」に移送される。このシステムは、自然界で最も浄化能力の高い土壌微生物群(土壌菌群)による浄化作用を応用したもので、「連続・回分複合式活性汚泥法」といえる。しかし、ゆう水処理は大量の土壌菌群と肥料成分を併せ持つ有機液肥化であり、目的が通常の活性汚泥法とは全く異なる。D 夏場は約15日、秋〜冬は約30日後には第3調整槽でゆう水となる。E 堆肥・尿・ゆう水の三つで土壌改良と施肥を行い、肥料成分の不足分は鶏ふんと溶リンで補うのが基本である。【有機転換後の生育状況】@ 有機酪農に転換時の土壌はpH5.5〜5.8、リン酸吸収係数1,000〜1,200であったが、現在は山の腐葉土と同じくpH6.5〜6.8、リン酸吸収係数650〜700となり、自然界の肥沃な土壌と変わらない数値となっている。A 牧草は慣行栽培に近い収量を上げ、放牧地の植生が改善され、嗜好性の高い草の収量が確保できた。飼料用トウモロコシも慣行栽培を上回る収量を収めている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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