【表題】 沿岸施設園芸地帯における地下水水質の多変量解析による類型化に関する研究

【著者名】 藤原拓;大年邦雄;唐心強;山辺敬介
【所属】 高知大学農学部生産環境工学科;愛媛大学大学院連合農学研究科
【発行年】 2001
【雑誌名】 水環境学会誌
【巻】 24−11
【頁】 724−732
【要約】 硝酸性窒素の供給源として、降水、生活排水の地下浸透処理、農業系、畜産系などが指摘されている。農耕地における化学肥料が窒素負荷量の60%を占めるなど発生源は多くは面的であるため、その対策は困難なものとなっている。農耕地の中でも土地利用形態によって地下水中の窒素濃度は大きく異なり、特に畑・施設園芸・樹園地において高濃度となっている報告が多い。最近ハウス栽培の普及で野菜類は1年1作から1年多作となり、それに伴う施肥量の増加、さらに減反政策による水田から畑作への転換など硝酸性窒素による水質汚染は一層の拡大・進行が予想される。高知県の沿岸部ではキュウリ、メロン、ナス等の施設園芸栽培が盛んで、硝酸性窒素による地下水汚染の進行に加えて、過剰揚水に伴う地下水への海水進入も重要な問題となっている。本研究では、高知県春野町を調査対象にして、沿岸部に立地する施設園芸地帯における地下水水質の空間的分布特性の検討をするとともに、多変量解析により水質特性の類型化を行うことを目的とした。解析手法としてまず調査データに基づき主成分分析による対象地域の地下水水質の総合的特性付けを行い、水質に及ぼす主要因を抽出し、次に得られた主成分得点を用いて、クラスター分析を行い、水質による対象地域の区域分けを行った。そして対象地域の地下水水質への影響因子について考察を加えた。結論として@主成分分析の結果、沿岸施設園芸地帯の地下水水質は、第4主成分まででその75.8%を集約でき、土壌の性質、海水進入及び施肥で沿岸施設園芸地帯の水質の概略を説明することができる。Aクラスター分析の結果、「対象地域の地下水水質は。施肥、海水進入のいずれれの影響も小さく、かつ土壌のリン固定力が大きい」、「施肥の影響を強く受ける」、「土壌のリン固定力が小さい」、「海水浸入の影響を強く受ける」の4クラスターに分類できた。Bクラスター分析による分類結果より、調査を行った1年間では、地下水水質に対して時期的な影響よりも、地理的な影響が大きいことが分かった、Cクラスター分析による分類結果は、おおむね対象地域の地理的情報と対応することが明らかになった、D地下水水質への海水浸入の影響は、海岸から井戸までの距離で現れること、同じ距離でも井戸の深さが深いほど影響が大きいことが分かった。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2005/03/15 掲載 ]


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