【表題】 膜を利用した排水の高度化処理技術の最新動向

【著者名】 稲森悠平;清水康利;大島綾子;孔海南
【所属】 国立環境研究所;上海交通大学
【発行年】 2002
【雑誌名】 資源環境対策
【巻】 38−8
【頁】 819−827
【要約】 本総説では、水域の現状に鑑み水質改善のための高度処理の必要性を指摘し、そのため水環境保全対策において活性汚泥法などの生物学的処理法が多く適用されているが、汚泥と処理水の固液分離性能の安定化、生物処理の効率化、コンパクト化のため、生物学的処理と膜分離を組み合わせた処理技術の現状を解説している。そして水資源の有効利用の立場から水の3Rすなわち減量Reduce, 再利用 Reuse,循環 Recycle のために膜分離法は有効な手段であるとする。まず、膜、膜分離技術の特徴について、精密濾過(MF)膜、限外濾過(UF)膜、ナノ濾過(NF)膜、逆浸透(RO)の基本的水精製への応用を詳説している。膜操作法、膜モジュールの特徴として、膜分離法は膜の細孔等によるふるいわけ機能で目的物を分離するため、常に膜透過流束の低下@被濾過物の膜面排除層(ケーキ層、濃度分極層)形成による膜透過流束低下、A膜のめずまりによる膜透過流束の低下が起こるので、これを防ぐことが利用技術の基本となる。バイオインダストリーでは、このためにクロスフロー精密濾過法(循環ポンプ吐出、膜回転または攪拌翼回転,曝気上昇流利用)が多用されている。膜モジュール形態は膜の操作法で決定され、膜面に被濾過液をポンプで循環するクロスフロー濾過法では管状、スパイラル状(膜シートを流路を形成しつつ渦巻き状に巻いたもの)モジュールが使用されるが、回転円盤法では表面に濾過層を有する円盤膜、浸漬膜では平板やすだれ状に中空糸を配した中空糸膜モジュールが使用される。下水処理における膜分離活性汚泥法(メンブレインバイオリアクター)を基本例にして膜機能の実際が詳説されている。生物反応については通常の活性汚泥法と同じ原理であるが、沈殿槽を設けずに、曝気槽の内部または外部に取り付けた精密濾過膜や限外濾過膜により汚泥と処理水の分離を行うため、高度なBOD、SS除去が実現される。また、従来の沈殿槽では固液分離の限界で前段の反応槽中の微生物濃度が決定し、数千mg/L以上での管理が難しかったが、膜の利用により微生物濃度としてのMLSSを従来法の3〜5倍高濃度に保持するようになった。そのため処理施設の設置スペースは大幅に削減可能となり、現在の膜分離活性汚泥法式は、MF膜を直接生物反応槽に浸漬したものが多い。この他、膜の維持管理法が詳述され、生活排水、雑排水処理、畜産を含む産業排水処理への適用、浄水処理への適用に触れ、今後の課題が記述されている。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2003/05/16 掲載 ]


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