【表題】 高級脂肪酸を水素供与体として用いた水路の直接脱窒

【著者名】 村澤浩一郎;納村和美;森崎久雄;佐野明美;寺田剛史;田井中善雄
【所属】 松下アムテック株式会社;立命館大学理工学部化学生物工学科;財団法人琵琶湖・淀川水質保全機構
【発行年】 2002
【雑誌名】 水環境学会誌
【巻】 25−12
【頁】 737−742
【要約】 琵琶湖に代表される閉鎖性湖沼では、流入する窒素の殆どが河川及び水路を介していると考えられ、これら既存の河川及び水路で窒素の直接処理を行うことは有効な窒素削減対策手法と考えられる。全窒素を低減には脱窒により溶存窒素を窒素ガスとして水中から放出することが必要であるが、河川及び水路の水は一般に好気的であり硝化反応は進むものの脱窒反応は起こりにくい環境である。実際に河川における脱窒能力が解析されているが、全流入窒素量の3〜4%程度にとどまるとされている。本研究では、水素供与体として常温で固体かつ水に不溶な固体水素供与体を接触材として実験水路中に設置し、固体水素供与体上に形成された微生物膜とそこに接触する河川水の界面生物反応を積極的に利用することで、動力を全く用いない原位置で河川水の窒素除去を目的とした。水素供与対は平均炭素数17.1の高級脂肪酸組成物を用い、その組成はあらかじめ脱窒性能が評価されているステアリン酸65重量%、パルミチン酸30重量%、ミリスチン22酸5重量%組成物とした。脂肪酸の担体には、ウレタンスポンジを用い、85℃で溶融させた脂肪酸中に浸積させた後常温で脂肪酸を固化させてウレタンスポンジにコーティングすることで脱窒接触材を作成した。実験水路は琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センタ−に全長24m、幅1m、水深70cmに原水導入部ポリ塩化日に利伝製接触材60枚からなる接触部、千鳥配置で脱窒接触材352枚を設置した脱窒部、沈殿部の順に設置し、325日間観察した。結果の概要は、@年間を通じてDOが5%以上の好機的流入水にもかかわらず、T−Nの除去率はほぼ10%から40%の範囲で推移した。AT−N除去率はNH4−Nが高い田植期、流速の早い9−11月、水温が10℃以下の低温期に一時的に大きく低下し、偏相関係数の値からNH4−Nが最大の要因であった。B脱窒部単位面積当たりの窒素除去能力は最大で5760mg-N・m−2/d−1を示し、比較水路の26倍、自然河川文献値の9倍以上であった。C微生物解析の結果、脱窒反応が明確にに確認され、脱窒接触材上には周囲の環境より脱窒菌が優先的に集積する特殊な場を水路内に形成していることが分かった。D実験期間を通じて初期添加脂肪酸の86.9%が消費され、水深方向の消費量は水深方向のDO変化と逆相関し、高DO域での脂肪酸の好気的分解が確認された。脂肪酸資化菌による高い酸素消費量がが微生物膜中をより嫌気的にし、脱窒反応がより起こりやすい環境を形成したと考えられる。E実験期間を通じて80.7kgの窒素が流入し、内78.4%が未処理のまま流出、12%が堆積物に転換され、最高で20.4%の窒素が脱窒により除去された。全脂肪酸消費量のうち脱退反応には40.7%がが消費され、59.3%が脱窒反応以外に消費された。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2004/01/21 掲載 ]


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