【表題】 脱窒性リン蓄積細菌を利用した新しい高度排水処理プロセス

【著者名】 常田聡;安祚喚;大道智孝;大野高史;平田彰
【所属】 早稲田大学理工学部応用化学科
【発行年】 2002
【雑誌名】 水環境学会誌
【巻】 25−12
【頁】 751−755
【要約】 生活排水処理施設において、有機物の除去に加えて窒素及びリンを適切に除去する方法は、好気性条件下での硝化細菌による硝化と無酸素条件下での脱窒細菌から成り立つ。一方生物学的脱リンはリン蓄積細菌を利用して行われる。この有用微生物の代謝作用を利用して有機物・窒素・リンを除去できるプロセスとして、嫌気/無酸素/好気法(いわゆるA2O法)が下水処理施設で採用されている。これまでリン蓄積細菌の呼吸における電子受容体は、分子状酸素であることが知られていたが、ここ数年の研究により、電子受容体に硝酸を利用してリンを取り込む、つまり脱窒能のあるリン蓄積細菌(以後、脱窒性リン蓄積細菌と呼ぶ)が存在することが分かってきた。脱窒性リン蓄積細菌の生理学的特徴をうまく利用することができれば、無炭素・無酸素条件下で脱窒及びリンの取り込みを同時に行わせることができ、新しい生物学的栄養塩類除去プロセスの開発が可能になる。しかしながら、このことを実際の高度水処理に応用した例はなく、また菌が単離されていないので、その生理学的性質については現在殆ど分かっていない。本研究では、脱窒性リン蓄積細菌の選択的培養法を開発するとともに、単一槽で有機物・窒素・リンが除去できる新しいプロセスである嫌気/好気/無酸素(AOA)法の実験室での開発を行った。実験は模擬下水を有効容積2Lの回分式反応槽で100日間にわたり培養し、リン取り込み能の評価、栄養塩類の除去プロセス(AOA法)、水質分析を行い、供給する電子受容体の変化に対応した汚泥中の微生物構造の変化を追跡するためPCR−DGGE法による分析を行った。結果の概要は、@嫌忌・好気条件下での培養の際、硝酸と有機物の共存によって脱窒性リン蓄積細菌が出現し、更に嫌気・無酸素条件で培養することにより、脱窒性リン蓄積細菌を選択的に培養できることが分かった。A微生物群集構造変化をPCR−DGGE法により観察したところ、脱窒性リン蓄積細菌の発現に呼応する生態構造変化はみられなかったが、与える電子受容体を分子状酸素から硝酸にすべて切り替えると生態構造には大きな変化がみられた。B嫌気/好機/無酸素(AOA)法を用いて模擬下水の連続処理試験を行ったところ、好機条件初期に有機物を少量供給すれば、単一槽で有機物・窒素・リンが除去できることが示唆された。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2004/01/21 掲載 ]


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