【表題】 消臭型の堆肥化ハウスの建設の試み

【著者名】 青木稔
【所属】 神奈川県畜産研究所
【発行年】 2003
【雑誌名】 畜産技術
【巻】 576
【頁】 22−26
【要約】 神奈川県では畜産経営が住宅と混在しているために、年々畜産悪臭関連の苦情が増加している。このため家畜ふんの堆肥化施設から発生する悪臭の効果的かつ低コストの対策が求められている。そこで平成12年度に「低コスト消臭型堆肥化ハウス」の実証施設を建設し、平成16年の実用化試験をめざして試験を実施中である。このハウスは密閉式で、堆肥化部分で発生する悪臭は高濃度のまま強制換気で2種類の脱臭装置を通過し、無臭化されて外部に放散される。脱臭装置の構造と臭気の経路:(第1装置)微生物脱臭装置−気液接触槽は1.9x3.1x1.5m、菌液槽は1.8x3.0x1.2mである。堆肥化施設部から強制換気によって導入された悪臭はシャワーリングによって水溶性臭気物質が吸着・除去される。次いで菌液槽を通過し、悪臭の大部分を占めるアンモニアは菌液中の硝化菌等により分解される。菌液槽内には菌増殖を促進させるため酸素供給と攪拌を行うインジェクター式水中曝気装置(20V、循環水量18m3/h)が設置されている。(第2装置)酸化チタン脱臭装置−酸化チタンは紫外線による物質分解を触媒する作用がある。この作用は堆肥化施設などからの高濃度悪臭物質の分解には不適当であるが、微量の悪臭物質の分解には適している。そこで微生物脱臭装置で一次処理され、微量となった悪臭物質の分解に酸化チタン脱臭装置を用いた。堆肥舎の天井を二重構造にし、内部は園芸ハウス用のフッ素樹脂膜に酸化チタンを塗布した材料を用いて、広いダクト状にした。フッ素樹脂膜は保護接着層形成剤を塗った後に、酸化チタン層形成剤を2回スプレーで塗布した。酸化チタンの塗布面積は天井の二重構造内面の上側部分270m2、下側部分276m2である。除湿装置:基礎実験の結果から、酸化チタン表面の結露防止のために、冷たい外気とハウス内からの暖かい臭気を含む空気との間で熱交換する顕熱交換機を微生物脱臭装置と酸化チタン脱臭装置の間に設置した。しかし完全に水分除去ができなかったので、運転開始後3ヶ月跡に、簡易除湿装置として顕熱効果器の後に長さ50m、直径60cmのビニールダクトをハウスの周囲を取り巻くように設置し、暖かい空気がこの中を通過中に外気との温度差で除湿されるようにした。建設費・施設費:発酵乾燥堆肥化ハウス(間口8mx奥行35m)一式約770万円、堆肥攪拌移送機(全幅6,750mm、攪拌深50cm)1基 約640万円、微生物脱臭槽一式約38万円、施設面積当たり建設費(280m2)51,820円/m2、 酸化チタン塗布(塗り賃を含む)約70万円。ランニングコスト:電気代、運搬車両燃料代、消耗品費を含めて1ヶ月当たり34,221円で、その内の98%を電気代が占めた。低コスト消臭型堆肥化ハウスの脱臭性能:微生物脱臭装置もアンモニア除去率は約85.0%、酸化チタン脱臭装置のアンモニア除去率は結露対策を十分にして25%程度であった。全工程を通じてアンモニアの除去率は95%であった。将来普及可能と判断しており、残された技術問題が指摘されている。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2005/03/15 掲載 ]


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