【表題】 独立栄養細菌を用いた硝化・脱窒同時進行型反応場の開発

【著者名】 青井議輝;白政優子;常田聡;平田彰
【所属】 早稲田大学理工学部
【発行年】 2003
【雑誌名】 用水と廃水
【巻】 45−2
【頁】 129−133
【要約】 本研究は硝化細菌、硫黄脱窒細菌及び硫黄を簡便に選択的に固定化し、生物膜に類似した構造体を作成することで、好気単一条件下で硝化・脱窒を実現させることを目的とした、実験台上シャーレ規模の研究である。現在廃水処理における生物学的窒素除去法として、硝化液循環型嫌気・好気プロセスが用いられる場合が多い。この方法は多くの実績をあげているが、液循環に伴なうシステムの複雑化及びコストの増加、脱窒に必要な有機物の添加など、改善を要する問題が多々ある。そこで、システムの単純化とコンパクト化のために、現在まで、単一槽による窒素除去が幾つか提案されている。例えば、外側にアンモニア酸化細菌、内側に脱窒細菌を包括固定したチューブ状ゲルを用いた窒素除去システム、硝化細菌及び脱窒細菌を固定化した中空膜を用いたメンブレインエアレーションバイオリアクター(MABR)を利用して硝化・脱窒を同時に進行させるシステム、あるいは、絶対嫌気性菌ANAMMOXをアンモニア酸化細菌と組み合わせたCANON法等が提案されている。以上の手法は硝化・脱窒反応を連続的に起すプロセスとしては有用であるが、より簡便に構築することができるシステムが望まれている。提案されている原理はバルク表面に硝化細菌の層が存在し、一方内側には粉末状の単体硫黄及び硫黄脱窒細菌の層が存在する二層構造を持つ生物反応場である。バルク表面の好気部位である硝化において硝化細菌の働きによりアンモニアが亜硝酸、硝酸に酸化されDOが消費される。そして内部の脱窒層においては、硫黄脱窒細菌により単体硫黄が硫酸に酸化されることで、亜硝酸、硝酸が窒素ガスへと還元される。すなわち、好気単一条件のリアクターにおいて、局所的に生ずる嫌気部位を利用した硝化・脱窒同時進行が行える。支持担体の構造は直径4〜8μm、長さ2〜3mmの円筒形の繊維であるスラグウールを用いた。各層は菌体、硫黄及びスラグウールを水中に懸濁させ、その懸濁液を吸引ろ過することにより、暑さ1〜2mm程度の菌体を均一に保持させたスラグウール層を形成させた。上部に硝化槽、下部に脱窒層となるように配置し、ネットで覆いシャーレ内に固定した。硝化・脱窒回分実験、連続流入硝化・脱窒実験を行い、硝化・脱窒が同時に進行していることを確認した。特定のリアクターを必要とせず、簡便かつ迅速に窒素除去能を好気条件下で発揮できることから、著者は、本来窒素除去能をもたない好気リアクターや環境水中に本反応場を投入することで、窒素除去能を簡便に付与することが見込めるとしている。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2005/03/15 掲載 ]


[ 新規掲載リスト ] のページ に戻る