【表題】 たい肥の熟度とその判定−熟度判定装置「コンポテスター」の活用法

【著者名】 古谷修
【所属】 (財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所
【発行年】 2003
【雑誌名】 畜産コンサルタント
【巻】 464
【頁】 18−23
【要約】 (財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所が、富士平工業(株)の協力のもとに開発し「たい肥熟度判定装置コンポテスター」の有効利用についての解説である。たい肥の腐熟は、微生物による材料有機物の分解で進む。堆積初期のたい肥には微生物が利用しやすい、易分解有機物が多量に存在するため微生物は活発に活動し、有機物の分解(酸素を取り込み二酸化炭素を出す呼吸作用)の結果、大量の熱を発生させる。そのため、たい肥の温度が70℃を越えることが普通である。そして腐熟が進み、易分解性有機物が次第に少なくなると微生物の活動は弱まり呼吸作用は低下する。この間腐熟の進行(温度の変化)に伴なって働く微生物は高温菌から中温菌へとリレーされて行く。このようにたい肥の腐熟の程度と、たい肥中の易分解性有機物の量及び微生物の呼吸には直接的な関係があり、たい肥中の易分解性有機物の含量は、堆肥の属性として熟度判定の指標となりうる。たい肥中の易分解性有機物含量の推定には、@微生物の呼吸作用を利用する方法とA化学あるいは酵素的に判定する方法がある。「コンポテスター」は@の微生物の呼吸作用を基礎にしている。「コンポテスター」のたい肥熟度簡易判定の原理と装置の概略は、装置の金属製ポットにたい肥試料50gを入れれて密封する。容器の温度は35℃に保たれている。容器内の酸素濃度は内臓酸素センサーで変化の状況が連続測定され、酸素濃度が時間ともに直線的に低下する。たい肥の未熟試料では易分解性有機物が多量にあるので微生物の活動が活発で、酸素の消費量が大きく、この直線の勾配が急であるが、たい肥の腐熟が進んだ試料では微生物のえさとなる易分解性有機物が少なくなっているためと、同時に微生物相も変化しているので直線の勾配が緩やかになる。この勾配から堆肥の易分解性有機物の含量を判断できる。本装置では、たい肥1g1分間当たりの酸素消費量(μg)が整数値で表示される。測定時間は約1時間である。従来堆肥の腐熟過程の指標として、たい積、切り替えし管理過程の温度曲線が簡単で有効な指標として用いられてきた。たい肥が十分腐熟して安定期に入れば切り替えしても温度は上がらなくなる。この安定期に入ったときの酸素消費量を把握しておけば、安全に施用するための基準となる。乳牛ふん及び豚ふんを用いたたい肥化過程の基礎実験から、この時点での酸素消費量乳牛ふん3、豚ふん2であった。酸素消費量が3以下になれば、土壌中で急激な有機物の分解は起こらないと考えられる。このように酸素消費量の測定は、総体としてのたい肥化過程(腐熟過程)に注目しているので、植物に有害作用を持つ物質が充分分解されているかどうかを確認したいときは、別途発芽試験や幼植物試験を実施しなければならない。しかし、酸素消費量3以下の堆肥試料について、事前に発芽試験や幼植物試験をして確認しておけば、一般にこの心配は解消する。この他「コンポテスター」使用上の留意事項、よくある質問に対する答えが記述されている。
【要約者】 渡邉昭三

[ 2005/03/15 掲載 ]


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