【表題】 水田における家畜ふん尿の多量還元

【著者名】 岡山県農業試験場化学部
【所属】 農林水産技術会議事務局 岡山県農業試験場化学部
【発行年】 1977
【雑誌名】 農林水産技術会議事務局編研究成果 農林水産生態系における汚染物質の循環と指標モデルに関する研究
【巻】 102
【頁】 54−61
【要約】 家畜ふん尿の積極的有効利用を図るため、その多量施用が、水稲の生育・収量に及ぼす影響を検討する。乾田直播水稲について、多量連用が生育・収量に及ぼす影響を2年連用、3年連用について検討した。その結果は初年目と同じで、生育・収量ともに、どのふん尿も施用量が多いほど優れており、しかも、倒伏、根腐れ等の生育障害は、ほとんど問題にならなかった。移植水稲ではふん尿間の差はなく、収量はすべて対照区を上まわった。また、倒伏、根腐れ等はほとんど発生しなかった。乾田直播水稲について、ふん尿中の窒素の肥効を、初年目試験の窒素吸収量でみると、全窒素中当該水稲作に吸収利用されたのは、牛ふんで7〜9%、液状きゅう肥5〜8%、豚ぷん5〜6%、鶏ふん4〜5%であった。直播水稲に多量のふん尿を施用しても、湛水開始期に、すでに、無機態窒素が大幅に減っていた。また、その後も無機化速度、量共に予想外に低く、化学肥料区の無機態窒素量を大きく越えることはなかった。しかし、ふん尿多量施用による土壌の化学性変化は極めて顕著で、短時日に、全窒素、粗腐植等が大幅に増加した。ふん尿の種類別では、牛ふんによる増加が最も大きく、ついで液状きゅう肥、豚ぷん、鶏ふんによる変化は少なかった。家畜ふん尿の多量施用が、地下水汚染をひきおこす心配がある。このため、水田に多量のふん尿を施用し、それが地下水に及ぼす影響を明らかにする。湛水田:岡山農試本場の灰褐色土壌壌土マンガン型水田(5a)で実施。通常の暗渠が埋設されているので、透排水は極めて良好。この圃場に牛ふん20t/10aを施用、約1週間放置後耕紀し、湛水、地下水への影響をみた。乾田:岡山県南部の平坦な水田地帯にある灰色褐色土壌壌土マンガン型の透排水性良好な水田、これを畑転換し、飼料作物を栽培している。この圃場に液状きゅう肥20t/10aを表面施用、地下水への影響をみた。家畜ふん尿の多量施用が地下水に及ぼす影響については、大腸菌などのふん尿そのものによる汚染と、硝酸態窒素など分解生成物による汚染に大別される。前者については、地表水が非常に地下浸透しやすい条件下では、発生することもあるが、一般には起こりにくく、それ程大きな問題になるとは考えられない。また、後者の場合は、ふん尿の多量施用によって生成されたものが次第に地下へ移行し、徐々に地下水へ溶脱していく。しかし、現状では、ふん尿以外のものの汚染の方がはるかに大きく、ふん尿の硝酸態窒素による汚染は微々たるものといえよう。
【要約者】 林 孝

[ 00/10/01 掲載 ]


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