【表題】 家畜ふん尿の処理・利用に関する研究 (土壌利用による豚ふん尿汚水の浄化)

【著者名】 尾形 保
【所属】 農林水産技術会議事務局
【発行年】 1974
【雑誌名】 農林水産技術会議事務局研究成果 家畜ふん尿の処理・利用に関する研究
【巻】 73
【頁】 134−147(255P)
【要約】 従来、汚水の浄化処理は嫌気性消化法や活性汚泥法などに見られるように、大部分が汚水中での微生物を積極的に利用する方法で、土壌微生物を積極的に利用した方式はほとんど顧みられなかった傾向にある。もちろん、有史以前より土壌は意識するとしないにかかわらず、各種廃棄物の浄化処理に用いられてきた。しかし今後の人の生活環境保全の為にはもっとこれを積極的、合理的に利用する必要があると考えられるので、著者らは土壌を利用した汚水浄化の可能性について検討した。土壌利用の散水濾床方式:考え方 土壌を好気的条件に維持しようとする場合、従来の「土壌浸透蒸散法」におけるように自然の土地をそのまま使用する時は、空気は土地の表面から出入りするだけであり、これでは好気的条件は地表面に近い部分に限られる。土壌の内部まで好気的にするには土壌を数枚の薄いプレートに切り離して、これら薄層土壌の相互の間隔を離すようにすれば、空気は各土層の上下両面より出入できる。土層の厚さが薄いほど土層の内部まで空気が到達しやすいことはいうまでもない。土壌利用による豚ふん尿浄化装置の一つとして、薄層(2.5cm)土壌を、僅かの間隔をあけて立体的に数十枚積み重ねて、これに汚水を流下浸透させる方式を考案し、そのテストプラントの性能について、夏期条件下で検討を行った。その結果、汚水の浸透は、目づまり土壌を適宜に交換するなどすれば、1日当たり480mmの速度を確保することは困難ではない。また汚水成分除去率は、COD(BOD):95%、NH4-N:98%、T-N:78%、リン酸とSS99%を上廻る値を示した。夏期条件では硝化作用もきわめて著しく、NH4-NをNH3-Nとなし、脱窒除去する可能性も示唆された。しかし、最大の弱点である土壌の目づまりの完全対策としては、薄層土壌の一部を交換するほかなく、現在の方式では、大規模な汚水処理には向かない。せいぜい、200〜300頭規模以下のものを対象とせざるを得ない。
【要約者】 林 孝

[ 00/10/01 掲載 ]


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