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小麦に及ぼす生育調節剤の倒伏軽減効果


[要約]
クロルメコートを出穂期前40〜20日頃に茎葉散布することにより倒伏が 軽減され、増収が図られる。
青森県農業試験場・水田利用部
[連絡先] 0172-52-4397
[部会名] 畑作物
[専門]  生理
[対象]  麦類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
本県の奨励品種「キタカミコムギ」は、長稈で耐倒伏性は弱い。特に、登熟期間の 降雨により倒伏する事例が多く、収穫作業の支障となるばかりでなく、品質や 収量低下につながる等の問題を抱えている。そこで、平成2年度からクロルメコートの 茎葉散布による倒伏軽減効果について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 薬剤名:一般名はクロルメコート、商品名はサイコセル、有効成分は 2-クロロエチルトリメチルアンモニウム=クロリド 46%、人畜毒性は劇物、魚毒性はA類である。
  2. 使用方法:茎葉散布、散布時期はコムギ出穂前40〜20日、使用量は 300〜500mL/100〜120g/10a、使用回数は年1回とする。
  3. 特に、散布時期については出穂前30日頃(暦日の平年では4月25日頃:穎花分化第IX期前期) で安定した効果が期待できる。
  4. クロルメコートの茎葉散布により、節間伸長の抑制及び子実重歩合の増加がみられ、 増収効果が認められる (表1表2)
  5. 窒素追肥量の増加に伴い伸長抑制効果は減少するが、0.8kg/aまでは 倒伏軽減効果が認められる(表1)。
  6. 稈の節間部位では、上位節から数えてn-4節間の伸長抑制が最も大きい (表2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 適用範囲は津軽地方とする。
  2. 窒素追肥量1.2kg/aの場合は、伸長抑制効果が劣る。
  3. 晴天の日中散布は薬斑を生ずることがあるので、夕方に散布する。
  4. 他剤との混用はさける。

[その他]
研究課題名:生育調節剤使用による小麦の倒伏軽減効果
予算区分 :県単
研究期間 :平成2〜3年
発表論文等:伊藤秀則他(1993)生育調節剤使用による小麦の増収技術
      第36回東北農業試験研究発表予定