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果菜類における省力的施肥法


[要約]
被覆肥料を全量基肥施用することにより、きゅうり、トマト、ピーマン、いちごの 代表作型について、無追肥で慣行並の収量が安定的に確保される。
岩手園試環境部・野菜花き部・南部分場、岩手農試環境部
[連絡先] 0197-68-2331
[部会名] 生産環境部会
[専門]  肥料
[対象]  対象
[分類]  普及

[背景・ねらい]
きゅうりを始めとする果菜類栽培は頻繁な収穫やこまめな栽培管理必要で、このうち 追肥作業はその回数もさることながらタイミングの見極めが重要であり、これを逸すると 収量は大きく減少してしまう。近年、労働力不足等の問題から省力化への要望は一層 高まり、追肥についても省力化の要望が高まっていた。 温度感応で窒素溶出が制御される被覆肥料はその溶出特性から栽培期間の長い果菜類に 適合した省力化資材として有望視されていた。そこで今回、既存の試験事例等を 取りまとめ果菜類における利用指針を策定した。

[成果の内容・特徴]
  1. 被覆肥料を利用することにより、果菜類の全量基肥1回施肥が以下の方法で行える。
    • 使用する肥料形態:被覆肥料と速攻性肥料を組み合わせたものを利用する。 組合せは窒素成分比で、被覆窒素70〜80%、速効性窒素20〜30% とする。
    • 施肥量:窒素成分で慣行の基肥窒素量と追肥窒素量の合量とする。
  2. 対象作物と作型および利用肥料
    対象作物    作型         被覆肥料の溶出タイプ
    
    きゅうり   露地普通          100日 トマト    雨よけ長期         140〜180日 ピーマン   雨よけハウス        180日 いちご    促成・半促成・早熟     140日
表1 露地きゅうりにおける試験例
表2 果菜類における試験例
図1 促成いちご硝酸態窒素濃度の推移

[成果の活用面・留意点]
  1. 被覆肥料の肥効は土壌の乾燥により発現が悪くなるので、露地きゅうり等の栽培の 場合、土壌が過乾燥にならないように灌水チューブを配置するなどして水分管理に 注意する。

[その他]
研究課題名:肥効調節型肥料利用技術の確立他
予算区分 :国・県
研究期間 :昭和60〜平成4年
発表論文等:平成4年度指導上の参考事項