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コバネイナゴの防除要否判定基準
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[要約]
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コバネイナゴの防除要否判定の目安となる密度は、捕虫網による20回の掬い取りで
出穂期の1ヵ月前頃では100頭、穂ばらみ期から出穂期では100頭から170頭の間となる。
山形県立農業試験場庄内支場 環境部
[連絡先] 0235-64-2100
[部会名] 生産環境
[専門] 作物虫害(防除)
[対象] 水稲
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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山形県では、近年コバネイナゴの発生が多くなっている。大型の害虫で葉の被害も
目立つため、収量や品質の低下に対する危機感が強く防除面積も年々増加している。
コバネイナゴの被害を解析し防除要否を判定する基準を策定して効率的な防除対策を
推進する。
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[成果の内容・特徴]
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コバネイナゴの防除要否を判定する目安を稲の生育ステージ別に設定した。
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出穂1ヶ月前頃では、20回掬い取りの虫数で概ね100頭以上であれば防除を行う。
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穂ばらみ期から出穂前の時期では、20回掬い取りの虫数で下記のとおりに判定し
対策を講ずる。
掬い取り虫数 | 防除要否の判定と対策 |
100頭未満 | 防除しなくてもよい。 |
100〜170頭 | 部分的であれば防除しなくてもよいが、発生地域が
広く畦畔や水田の周辺でも発生が多い場合は防除する。 |
170頭以上 | 防除する |
防除は7月中(出穂前まで)に行う
コバネイナゴを出穂1ヶ月前期頃から成熟期まで放飼した結果、被害許容密度は
1株当たり概ね0.8頭になると推定された
(図1)。
出穂期から成熟期まで放飼した結果、被害許容密度は1株当たり概ね0.8頭と推定した
(図2)。
しかし玄米の整粒歩合は0.5頭〜1頭の間で低下したことから品質に対する影響を考慮し、被害許容密度は0.5〜0.8頭の間とした。
コバネイナゴの捕虫網による掬い取りが推定され、掬い取り調査を行うことで
1株当たり虫数に換算することができる
(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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出穂1ヶ月前頃は、水田内での分布が均一でないためほ場の畦畔沿いと中央部で
掬い取りを行い水田内密度を推定する。穂ばらみ期から出穂期では、ほ場中央で
調査する。
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薬剤散布を行うときは、畦畔の草刈を行った後に畦畔も含めて防除する。
[その他]
研究課題名:主要害虫の要防除密度の策定
コバネイナゴの要防除密度
予算区分 :県単
研究期間 :平成4年度(平成2〜4年度)
発表論文等:水稲のコバネイナゴによる被害の解析
I.出穂期から成熟期の加害が収量に及ぼす影響、北日本病害虫研究会報第43号、1992。
水稲のコバネイナゴによる被害の解析
II.出穂32日前から出穂期の加害が収量に及ぼす影響、北日本病害虫研究会報第44号、1993。(投稿中)