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大区画水田に対応した乗用管理機による管理作業技術


[要約]
大区画水田圃場において乗用管理機を使用することにより、薬剤・肥料散布の 圃場内作業時間は10a当たり3〜4分程度と短縮され、また、その散布精度に ついても問題はなく、歩行による圃場内作業をいっさい省く作業体系が可能となった。
岩手県立農業試験場県南分場
[連絡先] 0197-35-1411
[部会名] 作業技術、水田農業
[専門]  作業
[対象]  稲類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
大区画水田においても従来の30a区画を対象とした、作業機械や作業技術が 導入されているが、従来の機械や作業、栽培技術では対応しきれていないのが実状である。 特に管理作業(除草、病害虫防除、追肥)は、畦畔または圃場内歩行作業が必要となるため、 作業の省力化、労働時間の短縮には結びついておらず、むしろ労働強度の増加等大きな 負担となっている。このため、大区画圃場に対応した乗用管理機による、省力的で 圃場内歩行作業を要しない、一貫した管理作業技術を検討実証した。

[成果の内容・特徴]
  1. 乗用管理機の構造
    • 3輪駆動式の乗用田植機の台車を利用し、左右2台の動力散粒機を台車に搭載した 構造になっている (図1)。
    • 散布装置と歩行部のエンジンがそれぞれ独立しているため、散粒機の吐出量と 歩行スピードは設定散布量によってそれぞれ決められる。
  2. 乗用管理機の作業性 (図2)
    • 10a当たり作業時間は3〜4分程度で、従来作業体系より大幅に短縮された。
    • 有効散布幅は風にも影響されるが、除草剤のような小粒で約10m、 粒状肥料で15m程度である。
    • 実散布量は設定の95〜110%とほぼ設定どおりの散布精度を示した。
    • 乗用管理機の走行による障害株数は、埋没株率で全体の0.02% (長辺125m、1往復、草丈69.8cm)と少なく、収量への 影響はほとんどない。

[成果の活用面・留意点]
  1. 乗用田植機が使用できる通常の圃場では、ほとんど問題なく走行できる。 (土壌貫入抵抗(SR-2型小コーン)で3kgf/cm2以下では、走行が不良になる)
  2. 暗渠施工初年目で施工箇所の耕盤が不安定であったり、弾丸暗渠を施工した圃場では 車輪が沈下することがあるので注意する。

[その他]
研究課題名:大区画圃場営農推進対策調査
予算区分 :国、県
研究期間 :平成4年度(平成2年〜4年)
発表論文等:なし