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ネギの直播栽培による省力化と作期拡大


[要約]
ネギの直播栽培により、省力化と作期拡大が図られ、水稲との労力競合が緩和され、 労働力の競合が少ない作業体系を組むことが可能である。
秋田県農業試験場経営部作業機械担当
[連絡先] 0188-39-2121
[部会名] 作業技術
[専門]  作業
[対象]  葉茎菜類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
秋田県のネギ栽培、移植栽培法である。移植栽培体系では、全作業時間に占める 育苗・定植並びに収穫・調製作業の割合は高く、ネギの作付拡大を阻害しているため、 これらの作業の省力化が急務である。 本試験は、ネギの育苗・定植作業の省力をねらいとした直播栽培をとりあげ、 作付拡大に有利な水田転換畑における実用性について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 作業時間:ロール式人力1条播種機を使用した作業体系では、移植栽培体系の作業時間に 比べて、大幅な省力化が可能である。しかし、間引き作業の有無、および間引きの 時期により、作業時間が変動する (図1)。
  2. 播種量:ロール式人力1条播種機では、播種速度により播種量が変動するが、10a あたりの播種量は700ml程度必要となる (図2)。 密植箇所は間引きを行う。
  3. 作溝播種:直播栽培における作溝播種は、軟白長確保に有効であり、土寄せ作業を 容易にする (図3)。
  4. 条間:条間が80cm以下の場合には、播種後100〜120日以降にネギの 茎葉が繁茂するので、管理機による土寄せ作業が困難となる。このため、作溝播種に おける適正条間は、90cm以上必要とする (図2)。
  5. 労力競合:年内収穫を前提とした直播ネギの播種時期は広く、水稲との労力分散が 図られ、労働力の競合が少ない作業体系を組むことが可能である (図4)。

[成果の活用面・留意点]
砂質土および極端に乾燥する土壌では、ネギの発芽に支障を来す恐れがある。 また、転換畑の場合、排水性を向上させる方策が必要である。

[その他]
研究課題名:ネギ類の省力機械化栽培技術と経済評価
予算区分 :県単
研究期間 :平成3年〜平成4年(平成3年〜平成8年)
発表論文等:東北農業研究発表会(一部発表)1992年7月
      秋田県農業試験場研究時報第31号 1992年12月