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地域活性化計画代替案の選択支援システム「TN法第3ステップ」
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[要約]
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市町村行政主体ならびに地域の農業指導機関と地域住民が一体となって複数の
地域活性化計画代替案の中から合理的な計画代替案を選択するという意思決定を
科学的に支援するための手法「TN法第3ステップ」を開発した。
東北農業試験場 農村計画部 地域計画研究室
[連絡先] 0196-41-2145
[部会名] 経営
[専門] 農村計画
[対象]
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
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価値観の多様化が急速に進行している状況下においては、地域活性化のための効果的な
対策の選択に際して、住民の選好を科学的かつ迅速に評価し合意形成を促進することが
不可欠である。地域活性化計画代替案の選択支援システム「TN法第3ステップ」は、
計画代替案の選択に際して利用可能な情報の特性に従って最も適切な評価手法を
選択して意思決定の合理的な支援を行う手法である。
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[成果の内容・特徴]
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TN法第3ステップは、様々な地域活性化計画のもたらす多様な効果ならびに実行に
要する費用を総合的に考慮して、実施するのが最も望ましい計画代替案を選択するという
計画主体の意思決定を科学的に支援するためのシステムである。
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TN法第3ステップでは、問題の特性に従った計画代替案の合理的な選択が支援できるように、
費用・便益分析、費用・有効度分析等の伝統的な評価手法に加えて、
コンコーダンス分析、階層構造分析、多属性効用分析など評価主体の選好を重視した
実践的な意思決定支援手法を活用する仕組みになっている
(図1)。
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従来の意思決定支援手法と比較して、TN法第3ステップでは、地域活性化計画代替案の
選択に際して、多様な評価基準を導入するとともに、定量化できない住民の意識や
政治的な配慮等の要因についても考慮することができる。特に、階層構造分析と
費用有効度分析を統合した手法は、代替案の特性を表す客観的なデータと主観的な
データを複数の評価基準に基づいて総合的に分析して最も望ましい代替案の選択が
できる。一方、コンコーダンス分析は、多様な評価基準に基づいて代替案のメリット
ばかりでなくデメリットまで評価できるため、欠点が少なくバランスがとれた代替案の
選択ができる(
表1、
表2
)。階層構造分析ならびに多属性効用分析は、代替案の評価に際して評価主体の
選好構造を解明して意思決定の支援を行う手法であり、住民の意向を大切にした
代替案の選択場面で有効に活用することができる。
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TN法第3ステップを構成する主要な意思決定支援手法である階層構造分析ならびに
コンコーダンス分析を効果的に実施するためのパソコンソフトを開発した。
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[成果の活用面・留意点]
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TN法第3ステップの活用にあたっては、評価に用いる情報の種類に応じて適切な
分析手法を選択することが重要である。また、TN法第1ステップならびに
TN法第2ステップと統合して活用することにより、より効果的な分析が可能となる。
[その他]
研究課題名:中山間地農村の生活施設整備の評価手法の開発
予算区分 :特研(施設整備評価)
研究期間 :平成4年(平成3年〜4年)
発表論文等:門間敏幸・安中誠司・浅井悟:戦略的村づくり支援システムTN法の構造と機能、
東北農村計画研究、第9号、1-26、1992.
浅井悟・門間敏幸・安中誠司:AHPによる住民意識構造の分析システム(AHP-COAS)
東北農村計画研究、第9号、99-151、1992.