研究所トップ≫研究成果情報≫平成4年度
ニコチンに対する免疫抗体の作製
-
[要約]
-
ニコチンに対する免疫抗体を作製した。免疫抗体は血清学的検出方法を用いて特異的に
微量なニコチンを検出可能であった。
福島県蚕業試験場 病理化学部
[連絡先] 0245-77-0055
[部会名] 蚕糸
[専門] 診断予防
[対象] 蚕
[分類] 研究
-
[背景・ねらい]
-
たばこ栽培地区における蚕のニコチン中毒の発生は、蚕作に多大の影響を及ぼす。
中毒の症状は特有であるが、微量のニコチン中毒の場合には、それが農薬によるものか
どうかを判定することは困難である。そこで、免疫抗体を用いる血清学的診断方法により
中毒原因であるニコチンを正確に検出しようとする。
-
[成果の内容・特徴]
-
ニコチンおよびその類似化合物であるコチニンを用い、これらにBSAを結合させて
免疫抗原を調製した。
-
各ハプテン抗原を家兎に免疫して得た2種抗血清は、寒天ゲル内二重拡散法により
BSAおよび免疫抗原であるハプテン-BSA結合体と反応し、さらにスパーを形成したこと
から、抗血清中にニコチンに対する免疫抗体が含まれることを確認した。
(表1)
-
2種の抗血清は、それぞれの免疫抗原のほか、おたがいの免疫抗原と反応した。さらに、
酵素抗体法によりニコチンと反応することも確認された。
(表1)
-
[成果の活用面・留意点]
-
2種抗血清がニコチンと反応することから、本抗血清を用いた血清学的検出法の実施
により、微量のニコチンに汚染された桑葉あるいはそれを食下した中毒蚕からニコチンを
検出できる。これにより、ニコチン中毒による被害を未然に防止できる。あるいは中毒
蚕発生現場で、その原因がニコチンによるかどうかを正確に指摘できる。
[その他]
研究課題名:免疫測定法を用いた桑葉からの農薬微量検出法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成4年度(平成2〜6年)
研究担当者:荒川昭弘、松野瑞彦
発表論文等:東北蚕糸研究報告、第17号(1992)