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耐冷・耐病・良質・良食味水稲新品種候補「東北152号」
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[要約]
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水稲「東北152号」は葯培養で育成した系統であり、
東北中南部では中生の晩に属する。対倒伏性が強く、耐冷性が強、
いもち病抵抗性が強、良質で良食味である。
平成9年から宮城県、福島県で奨励品種に採用され、「ひとめぼれ」、「初星」、
「チヨニシキ」の一部に代えて普及する。
宮城県古川農業試験場・育種部・育種科
[連絡先] 0229-22-0148
[部会名] 水稲
[専門] 育種
[対象] 稲類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
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東北地方中南部で作付されてきた「ササニシキ」、「ひとめぼれ」等の主力品種は
いもち病に弱く、耐倒伏性も弱いので、
これらの良食味品種の弱点を改善しようとした。
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[成果の内容・特徴]
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水稲「東北152号」は昭和63年に宮城県古川農業試験場において、
「チヨニシキ」を母とし、「東北143号」(後の「ひとめぼれ」)を父として交配し、
その雑種第一代の葯培養により育成した系統である。
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出穂期、成熟期は「ひとめぼれ」並で、育成地では“中生の晩”の粳種である。
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稈長は「ひとめぼれ」よりやや短く“中”、
耐倒伏性は「ひとめぼれ」より明らかに強く“やや強”、
収量性は「ひとめぼれ」に優り「チヨニシキ」並である。
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いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pi-i 型”と推定され、
圃場抵抗性は葉いもちには“やや強”、穂いもちには“強”である。
障害型耐冷性は「ひとめぼれ」よりわずかに劣る“強”で、
穂発芽性は“難”である。
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玄米品質は「ひとめぼれ」並の“上の中”、
食味は「ひとめぼれ」に近い“上の中”である。
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寒冷地中南部の平坦地帯に適する。宮城県で「ひとめぼれ」の一部に代えて、
福島県では「初星」、「チヨニシキ」の一部に代えて奨励品種に採用の予定であり、
普及見込み面積は各々4,000ha及び6,900haである。
(特性一覧表)
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[成果の活用面・留意点]
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「ひとめぼれ」等の対照品種に比べて穂数が少ないので、
茎数及び穂数の確保に努める。
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白葉枯病抵抗性が“やや弱”であり、常発地での栽培は避ける。
[その他]
研究課題名:寒冷地中部向け極良食味、耐冷性、いもち病抵抗性品種の育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成8年度(昭和63〜平成8年)
発表論文等: