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岩手県におけるネギコガの防除


[要約]
ネギコガは休眠性を有し、 岩手県では成虫態で越冬している可能性が高いことが明らかとなった。 そのため既知の発育零点、有効積算温度による発生予察から適期防除が可能となり、 ネギについては年間3〜4回の農薬散布で防除が可能となった。 合成ピレスロイド剤を使用する場合はトラップによる誘引消長のピーク前〜ピーク時、 有機リン剤の場合はピーク時〜ピーク後の施用が最も効果的である
岩手県農業研究センター県北農業研究所・営農技術研究室
[連絡先] 0195-47-1072
[部会名] 生産環境推進部会
[専門]  作物虫害
[対象]  葉菜類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
ネギの主要害虫であるネギコガは、 これまで北日本での加害生態については不明であったため防除のポイントがわからず、 現場では殺虫剤を殺菌剤に混用した多回剤散布が行われてきた。 このためコストや使用画数の制限等が問題となり、 早急なネギ病害虫防除体系の構築が求められている。そこで、 本研究では防除体系構築の資とするためにネギコガの発生生態を調査し、 これに基づき防除試験を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 定植が早春に出現する1回目のピーク後であれば、粒剤の土壌施用は不要である。 越冬世代の発生は春先の気温に左右されるので フェロモントラップの誘引消長により判断する。
  2. 9月下旬に見られる個体は産卵しないので防除は、9月中旬まででよい。
  3. 防除は各世代につき1回でよい(年間3〜4回の防除となる)。
    ・防除時期の判断は発育零点、有効積算温度およびフェロモントラップによる 誘引消長により行う。
    ・本種は年間5世代程度発生すると思われるが最後に出現する世代については 防除は不要である。
  4. 合成ピレスロイド剤を使用する場合はトラップによる誘引消長のピーク前〜ピーク時、 有機リン剤の場合はピーク時〜ピーク後の施用が最も効果的である (図1,図2, 図3)。
    ・ペルメトリン乳剤を使用した場合、 雄成虫誘引消長のピーク前・ピーク時での処理では、 いずれも被害茎は認められなかった。これは、 本剤が即効性を伴った接触毒作用を示すことに加え、 産卵抑制などの忌避作用があるため、成虫の発生ピーク時(もしくはピーク前) の散布により成虫数が抑制されるとともに産卵抑制が見られたためと考えられる。
    ・浸透性があり食毒的に作用するMEP乳剤のような薬剤については、 施用から効果の発現までタイムラグがあるため、ある程度の被害が認められた。 しかし、 ネギコガの発生量の少ない場合は本剤による防除で十分対応できるものと思われる。

[成果の活用面・留意点]
  1. ネギハモグリバエなど他害虫の発生が懸念される地域では、移植時期にもよるが、 粒剤の土壌施用が必要な場合もある。
  2. 既知のネギコガの発育零点及び有効積算温量は以下のとおりである。

[その他]
研究課題名:ネギにおける病害虫の発生生態および防除技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成9〜11年
発表論文等:北日本病害虫研究会報 第50号 (予定)