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福島県における良質・高イソフラボン含有だいず新品種「東北126号」の採用


[要約]

 「東北126号」は耐病虫性が強く、安定・多収で、外観品質・豆腐加工適性ともに「スズユタカ」並の良質系統である。またイソフラボン含量が高く、機能性食品の素材として期待できる。

[キーワード]

多収、外観品質、豆腐加工適性、イソフラボン含量、耐病虫性

[担当]福島農試・種芸部・畑作研究室
[連絡先]024-932-7785
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 福島県の主力だいず品種「スズユタカ」は耐病虫性で良質・多収の優良品種であるが、裂皮粒の発生が多く、また倒伏抵抗性はやや弱いため、近年収量・品質の低下が問題になっている。また「タチナガハ」は機械化適応性の高い安定品種であるが、ウイルス抵抗性・センチュウ抵抗性が弱く、作付拡大は進んでいない。このため耐病虫性が強く、外観品質・加工適性の高い多収品種の導入が要望されている。

[成果の内容・特徴]

1.

「東北126号」は、昭和63年農林水産省東北農業試験場においてウイルス抵抗性およびセンチュウ抵抗性の高い強茎品種を育種目標に、「東北96号」を母、「デワムスメ」を父として人工交配を行ない育成された。

2.

「東北126号」は、「スズユタカ」と比較した場合、次のような特性を持つ(表1)。
(1)

開花期は2〜4日早く、成熟期は1〜4日遅い中生種である。

(2)

ダイズモザイクウイルスのA,B,C,Dの各系統に抵抗性を持ち、ダイズシストセンチュウ抵抗性・立枯病抵抗性・紫斑病抵抗性はいずれも「強」で、耐病虫性が強い。

(3)

耐倒伏性は「スズユタカ」に優る「強」である。

(4)

子実収量は標準播・晩播とも「スズユタカ」に優る。百粒重は「スズユタカ」よりやや大きい「中の大」、粒色は「黄白」、粒型は「楕円体」である。

3.

豆腐加工適性は「スズユタカ」並で、豆腐の物理性及び官能評価は「フクユタカ」に優り、「スズユタカ」並から優る(表2)。

4.

子実及び豆乳のイソフラボン含量は「スズユタカ」の約1.5倍と高い。

[成果の活用面・留意点]

1.

熟期は「中生」であり、普及対象地帯は県内の標高500m以下の地帯である。

2.

最下着莢位置は「スズユタカ」並でやや低く、茎水分の低下は「スズユタカ」より緩慢であるので、汚粒防止のため、機械収穫の刈取り適期判断及びコンバイン収穫の刈高さに注意を要する。

3.

イソフラボン含量が高く、機能性食品開発の素材として活用が期待できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

大豆奨励品種決定調査、大豆有望系統の高品質栽培法

予算区分:

国庫・県、国庫委託(21世紀プロ)

研究期間:

1995〜2001年

研究担当者:

丹治克男、二瓶直登、渡部隆、斎藤正明、大谷裕行、斎藤弘文


大豆及び大豆イソフラボンの機能性に関しては、 「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」 を参考にして下さい。(2006.2)

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