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チリカブリダニによる夏期雨よけオウトウのナミハダニ防除


[要約]

 夏期雨よけ環境下にあるオウトウのコンテナ栽培において、1樹当たり天敵のチリカブリダニを100〜200頭放飼することで、翌年の収量に影響を及ぼすことのない程度までナミハダニの密度を抑制することができる。

[キーワード]

オウトウ、天敵、チリカブリダニ、ナミハダニ

[担当]宮城農園研・園芸環境部
[連絡先]022-383-8123
[区分]東北農業・果樹
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 加温促成オウトウコンテナ栽培(60リットル)において、病害の発生を抑制させる栽培管理を行うには収穫後も雨よけ環境を維持する必要があるが、その場合、収穫後のナミハダニによる被害が甚大となる。ナミハダニの多発生は早期落葉、翌年の収量に影響を及ぼすが、本種の対策としての天敵チリカブリダニの利用を確立する。

[成果の内容・特徴]

1.

チリカブリダニは、所定量の製剤をペーパータオル等で軽く包んで、各樹の主枝または側枝上の2箇所に引っ掛けるように放飼する。

2.

放飼時期は収穫後のナミハダニの発生初期とする。

3.

1樹当たりの放飼頭数は、50頭ではナミハダニ密度の十分な抑制効果は期待できないが、100頭及び200頭でその効果が認められた(図1)。

4.

1樹当たり100頭及び200頭放飼での翌年の収量は、慣行防除と同程度となり、ナミハダニに対して十分な防除効果が認められた(図2)。

[成果の活用面・留意点]

1.

使用した天敵製剤はトモノカブリダニPPである。

2.

試験は加温促成したオウトウコンテナ栽培とし、試験に供試した樹は収穫後も継続して雨よけ環境下で管理した。気温は最高で摂氏45度、最低で10度程度の範囲で経過した。

3.

慣行防除区では殺ダニ剤を6月中旬及び7月上旬に、発生軽度によっては追加で9月に散布している。

4.

本天敵製剤は現在、オウトウに対して登録申請中である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

果樹の減農薬栽培技術の確立

予算区分:

県単

研究期間:

1999〜2001年度

研究担当者:

宮田将秀、増田俊雄

発表論文等: なし

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