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損傷率の小さいエダマメ収穫機


[要約]

 開発したエダマメ収穫機は、収穫調製に要する労働負荷が軽減できるのに加えて、機体前部に畝を切り崩す分土板と畝の土を外側へ排出する排土板を取り付けたことで、手収穫なみの高精度な収穫が可能である。

[キーワード]

エダマメ、収穫機、分土板、排土板

[担当]秋田農試・経営計画部・機械施設担当、井関農械株式会社
[連絡先]018-881-3330
[区分]東北農業・作業技術
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 秋田県では、田畑輪換に対応した作物として県南部を中心にエダマメ栽培が盛んである。現状のエダマメ収穫は手作業で行われ、根部をつけた状態で引き抜いており、引き抜きに要する負荷が約400N(40kgf)と長時間の作業が困難である。そこで、作業の軽労化と能率の向上、更に手収穫なみの精度で収穫可能な収穫機を開発する。

[成果の内容・特徴]

1.

本収穫機は、本体前部に畝を切り崩す分土板を取り付けたため、搬送コンベア先端を低位置にすることが可能となり、土中にあるエダマメ株を根元付近で把持できる(図1)。

2.

本収穫機は、切り崩した畝の土を外側へ排出する排土板を取り付けたため、切り崩した土の搬送コンベア部への戻りや抱き込み量が少なくなり、土による莢の擦過傷(1999年度調査:損傷率27%)を少なくする(図1)。

3.

本収穫機は機体前部の車輪高さを調節することで、多様な畝の高さや最下着莢位置に対応できる(図1)。

4.

収穫物は機体にある傾斜した搬送コンベアで把持し、作業者の手元まで搬送されるので腰を曲げないで作業できる。

5.

収穫したエダマメは、収穫時に落下や機械的損傷を受けた莢の割合が中晩生種(品種:錦秋)で0.6%、晩生種(品種:秘伝)で0.4%で、手収穫なみの精度で機械収穫できる(表1)。

6.

本収穫機は、畝に追従して自走し作業中に収穫機の操作が不要であるため、一人作業が可能で、作業速度0.18m/s、作業能率が2.1h/10aとなり、人力収穫と比較して作業時間が1/7以下となる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1.

本収穫機は畝を切り崩しながら収穫を行う構造のため、マルチ栽培に利用できない。

2.

最下着莢位置の低い早生種(初生葉位置から約3cm程度)などでは、搬送コンベアで分枝を挟み込むことが多くなるので、本収穫機の適応性が低い。

3.

中生、中晩生、晩生種では、最下着莢位置が約5〜8cmと高く分枝の挟み込みが少なくなるため、本収穫機の適応性が高い。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

野菜の新作型を基幹とした水田輪作技術

予算区分:

国補(地域基幹)

研究期間:

1999〜2001年度

研究担当者:

片平光彦、久米川孝治、小笠原伸也、舛谷雅弘、鎌田易尾

発表論文等:

1)片平ら(2000)農機東北支報47:47−50
2)片平ら(2001)農機東北支報48:
3)片平ら(2001)特許出願:収穫機 出願番号2001−334863
4)http://www.agri-ex.pref.akita.jp/manegement/h13/kikai1309.htm


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