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小型反射式光度計を用いた牛ふん堆肥中肥料成分の簡易分析


[要約]

 牛ふん堆肥中の成分測定の際に、堆肥を酸分解することなく、抽出液を用い小型反射式光度計を使用することにより、全リン酸と全加里を簡便に推定できる。また、硝酸態窒素も加里測定用の抽出液を用いることで精度良く測定できる。

[キーワード]

牛ふん堆肥、リン酸、加里、硝酸態窒素、小型反射式光度計、簡易分析、抽出

[担当]宮城古川農試・土壌肥料部
[連絡先]0229-26-5107
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 堆きゅう肥の成分測定には、試料の調整を含め長時間を要し、高価な分析機器も必要となる。また、品質が変化し易いうえ成分むらが大きく、成分把握のためには、短時間で簡便に数多く測定できる方法が望まれている。そこで、副資材や熟度が多様な牛ふん堆肥の成分を、小型反射式光度計を用いて、簡易に分析する手法を確立する。

[成果の内容・特徴]

1.

分析のフローは図1のとおりである。

2.

全リン酸の推定:牛ふん堆肥の現物10gをpH3硫酸緩衝液(土壌可給態リン酸測定用)500mlで1時間振とうした抽出液を濾過後、必要に応じ希釈し、小型反射式光度計のPO43-用セルテストで測定する。この抽出液中リン酸を現物当たりに換算した値から、全リン酸含量を推定できる(図2)。

3.

全加里の推定:牛ふん堆肥の現物20gを蒸留水500mlで30分振とう後、2と同様の手順で、K用セルテストにより測定する。この抽出液中加里を現物当たりに換算した値から、全加里含量を推定できる(図3)。

4.

硝酸態窒素の測定:全加里の推定に用いた抽出液(濾過前の上澄液でもよい)は、着色の影響を除くために、NO3-用試験紙の測定値からブランク用試験紙の測定値を引くことにより、硝酸態窒素の測定にも使用できる(図4)。

[成果の活用面・留意点]

1.

堆肥の副資材等が原形をとどめる場合は、分析前にはさみで1cm程度に切ってから、よく混和して用いる。

2.

小型反射式光度計による測定値は測定温度により影響を受けるので、標準液を同時に測定し補正する。

3.

抽出液は着色しているので、セルテストを用いた場合も添付の測定手順に従い、ブランク値を差し引く。

4.

牛以外の畜種のふんが含まれる場合のリン酸測定やバーク堆肥の硝酸態窒素測定などでは、回帰式からはずれることがあるので使用しない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

堆厩肥品質の簡易診断技術の確立

予算区分:

県単

研究期間:

2000年度

研究担当者:

熊谷千冬、島秀之

発表論文等: 1)熊谷(2001)東北農業研究54

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