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チリカブリダニを利用したイチゴの害虫ハダニ類の防除のマニュアル化


[要約]

 イチゴの害虫ハダニ類に対する捕食性天敵チリカブリダニを用いた防除法を他の病害虫防除と矛盾なく防除体系の中に組み込めるようにマニュアル化した。

[キーワード]

イチゴ、天敵、チリカブリダニ、ハダニ類、生物的防除

[担当]宮城農園研・園芸環境部
[連絡先]022-383-8123
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 イチゴのハダニ類防除に捕食性天敵チリカブリダニ製剤が登録されてすでに数年が経過したが、その使用方法や防除効果の発現様相などが十分に理解されていないことから、一部の先進的農家以外にはあまり普及していないのが現状である。そこで、過去に実施してきた試験結果をもとに、ハダニ以外の害虫の防除を含めた体系、チリカブリダニの導入時期、天敵導入後の効果の判定とその後の対処法、防除効果の現れ方などをできるだけ具体的に示したマニュアルを作成する。

[成果の内容・特徴]

1.

苗の定植から収穫終了までの栽培期間を通し、各々の時期に応じて使用する殺虫剤も考慮しながら、チリカブリダニの導入時期や導入後の効果の判定とその後の対処法などを具体的な防除体系とする(図1)。

2.

チリカブリダニによる防除効果は、殺ダニ剤の直接的で速効的な殺虫効果と異なり捕食によって徐々にハダニ密度を抑制するものであることから、天敵利用の経験のない指導者や天敵使用者が効果の現れ方を十分理解できるように、概念図を用いて解説する。

3.

ハダニ類の生態やチリカブリダニの特徴と使用方法、さらに他の害虫類の防除法などについて写真を取り混ぜて掲載したリーフレツトを作成する。

[成果の活用面・留意点]

1.

冬期間にチリカブリダニを導入する場合は施設内の最低温度を摂氏10度以上に設定する。

2.

チリカブリダニを用いると殺ダニ剤の使用が減るので、結果として新規殺ダニ剤の抵抗性発達を遅延させることができる。

3.

通常栽培では本圃定植後に行われる薬剤散布の多くは殺ダニ剤散布であるが、チリカブリダニをうまく利用できれば散布の手間が省けることから省力になり、低コストにもつながる。

4.

他県等で本リーフレツトを増刷して利用する場合には、当所の承諾を得る。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

ハクサイ、イチゴの環境保全型栽培技術の開発

予算区分:

国補(地域基幹)

研究期間:

1999〜2002年度

研究担当者:

増田俊雄、宮田将秀

発表論文等:

なし


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