水稲の中苗育苗における「もみがら成型マット」を用いた育苗法
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[要約] |
「もみがら成型マット」は、播種時の箱当たり灌水量を1.5L程度、覆土量を1.35kg程度にすることで軽労化を目的とした無加温平置き方式の中苗育苗に利用できる。追肥は、葉色が淡い場合に1回程度行う。移植精度は育苗床土を用いた場合と同等である。 |
[キーワード] |
水稲、中苗、育苗資材、床土、軽労化 |
[担当]青森農試・栽培部
[連絡先]0172-52-4311
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・参考
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[背景・ねらい] |
稲作作業の中で育苗時の労働強度は大きく、その省力化とともに軽労化の技術開発が重要となっている。一方、最近は育苗土に利用されてきた優良な黒土の入手が困難になりつつあり、これに替わる育苗土代替資材の開発が急務となっている。新しく開発された籾殻を原料とした「もみがら成型マット」は、環境保全農業に対応した資材であり、水稲育苗の床土代替資材として利用可能であれば、黒土等の購入・準備の不要と苗箱の軽量化による育苗作業の省力化、軽労化に役立つ資材である。このため、「もみがら成型マット」の特性を踏まえた無加温平置き方式の中苗育苗法について検討する。 |
[成果の内容・特徴] |
1.
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育苗法 |
(1) |
「もみがら成型マット」は、素材の特性から出芽時に根上がりが起こり易い。この軽減策として、箱当たりの灌水量は1.5L程度、覆土量は1.35kg程度が必要である。また、育苗器を利用した32℃の24〜48時間の出芽加温も有効である(表1)。 |
(2) |
窒素成分量1.5g含む「もみがら成型マット」は、覆土に中・成苗用の人工培土を用いることで追肥は不要である。ただし、「もみがら成型マット」苗は育苗後半の苗窒素濃度の低下が大きいため(データ省略)、葉色が淡い場合は育苗後半に箱当たり窒素成分量1gの1回追肥が苗質向上に有効である(表2)。 |
(3) |
加熱成型して製造される「もみがら成型マット」には病原菌はほとんど生存していないが、周辺からの飛び込み等による病害発生を防ぐためピシウム菌、フザリウム菌、リゾープス菌の防除薬剤は必ず施用する。 |
(4) |
催芽程度および水管理、温度管理は慣行育苗(黒土・人工培土育苗)に準じて行う。 |
2.
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苗の生育は、育苗床土(黒土)に比べて出芽揃いから2葉期頃までは草丈が短く、葉齢が少なく経過するが、移植時では育苗床土(黒土)と同等か上回る苗生育になる(図1)。
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3.
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苗箱重量は播種直後で育苗床土(黒土)の74%程度になる。
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4.
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移植精度は損傷苗や浮苗がやや多いが欠株率は1.2%程度で育苗床土(黒土)と大差ない(表3)。また、移植後の新根発生は育苗床土(黒土)と同等である。
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[成果の活用面・留意点] |
1.
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本情報は、形状が長さ58cm、幅28cm、厚さ14mmで重量が400g前後、窒素成分量1.5g含有の「もみがら成型マット」を使用した試験データである。
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2.
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播種プラントを用いて灌水量1.5L程度を吸水させるためには、灌水パイプを2か所設置し、設置間隔を1本目の灌水が十分に吸水後に2本目から灌水されるよう調整する。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名: |
もみがら成型マットによる育苗・移植技術
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予算区分: |
受託
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研究期間: |
1999〜2001
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研究担当者: |
成田真樹、野沢智裕、高城哲男
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発表論文等: |
成田・高城(2000) 東北農業研 53:31-32
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