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「ひとめぼれ」における自然乾燥と機械乾燥の刈り取り適期の違い


[要約]

 水稲の主要品種「ひとめぼれ」において、高品質米の安定生産のための刈り取り適期は、自然乾燥の場合は現在の指標通り黄化籾割合80〜90%であるが、コンバイン収穫・機械乾燥の場合は黄化籾割合85〜90%を目安とする。黄化籾割合が85%以上になると立毛中の籾水分は25%以下に急激に低下する。

[キーワード]

水稲、刈取り適期、ひとめぼれ

[担当]岩手県農研セ・農産部・水田作研究室
[連絡先]0197-68-4412
[区分]東北農業・水稲
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

 水稲の品質・食味を向上させるためには、適期刈り取りの徹底が重要である。現在、刈り取り適期の目安は、自然乾燥、機械乾燥の場合を含めて黄化籾割合80〜90%を基準としているが、乾燥方法による違いが指摘されてきた。そこで、成熟期における籾の熟色と籾水分及び玄米品質の関係について、主要品種の「ひとめぼれ」を用い、自然乾燥と機械乾燥の両面から検討した結果をとりまとめ、刈り取り適期の判定に活用する。

[成果の内容・特徴]

1.

玄米品質について、青未熟粒の割合は、黄化籾割合が概ね85%までは、自然乾燥に比べ機械乾燥で高くなるが、黄化籾割合85%を越えると乾燥方法による大きな差は見られない(図1)。

2.

整粒の割合は、黄化籾割合85%までは、自然乾燥に比べ機械乾燥で低くなるが、黄化籾割合85%以上では乾燥方法による差はない(図1)。

3.

被害粒の割合は、乾燥方法による大きな差は見られず、黄化籾割合90%を越えると増加してくる(図1)。

4.

これらのことから、「ひとめぼれ」における刈り取り適期は、自然乾燥の場合は黄化籾割合で80〜90%(現在の指導指針通り)であるが、コンバイン収穫・機械乾燥体系の場合は、黄化籾割合85〜90%を目安とする。

5.

立毛中の籾水分は、出穂後の日平均気温の積算が800〜1000℃では約25%前後で経過するが、概ね1000℃以上(黄化籾割合概ね85%)では、25%以下に急激に低下する。そのため、黄化籾割合85%以上では、籾水分は25%以下に低下し、コンバイン収穫・機械乾燥体系での作業効率の向上が図られる。(図3

[成果の活用面・留意点]

1.

黄化籾は、籾の基部まで籾全体が完全に黄化した籾とした。

2.

機械乾燥は、火力乾燥、通風除湿乾燥等を想定したものである。

3.

刈り遅れにより胴割れ粒が多発してくるため、刈り遅れには十分注意する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

登熟診断技術の確立

予算区分:

県単

研究期間:

1998〜2001年度

研究担当者:

吉田宏、小野寺郁夫、小田中温美、臼井智彦、高橋政夫、伊五沢正光

発表論文等: 吉田・小野寺(2001)東北農業研究54:(未定稿)

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