研究所トップ研究成果情報平成13年度

豚の骨軟骨症と肢蹄形状および産肉能力との関連


[要約]

 骨軟骨症病変度が重い豚は一日平均増体量が小さい傾向が認められた。また肢蹄形状から骨軟骨症病変度が判断できる可能性がある。肢蹄得点、管囲、骨軟骨症上腕骨遠位端病変度の遺伝率について中程度の推定値が得られ、肢蹄形質は改良の可能性がある。

[キーワード]

豚、脚弱、肢蹄形質、骨軟骨症、産肉能力、遺伝的パラメーター

[担当]宮城県畜試・種豚家きん部・原種豚チーム、新潟大・農学部・家畜生産学研究室
[連絡先]0229-72-3101
[区分]東北農業・畜産
[分類]科学・参考


[背景・ねらい]

 種豚の廃用の原因として繁殖障害と並び脚弱があげられ、種豚の改良目標として肢蹄の強健性が求められている。このため肢蹄形質と他の経済形質との遺伝的関連を推定することが必要である。そこで、脚弱の第一要因として考えられる骨軟骨症の病変度、外観形状による肢蹄の5段階評価および管囲を肢蹄形質とし、肢蹄形質と産肉能力の遺伝的関連を検討するとともに肢蹄形質の遺伝的パラメーターを推定した。

[成果の内容・特徴]

1.

試験方法
材料は宮城県畜産試験場において系統造成中のデュロック種2〜7世代までの計1,442頭のデータ(育成雄332頭、育成雌625頭、調査豚485頭)を用いた。30〜105kgの一日平均増体量、105kg時点でのロース断面積、背脂肪厚、肢蹄得点(図1)、管囲を全頭について、IMFについては各世代の調査豚全頭、骨軟骨症病変度を3世代〜7世代までの調査豚(雌105、去勢291)の左上腕骨、尺骨、大腿骨ついて調査した。遺伝パラメーターの推定にはGroeneveldのプログラムVCE4.25を用いた。

2.

豚の骨軟骨症病変と産肉能力の関連については上腕骨遠位端、大腿骨遠位端軟X線病変と一日平均増体量との間に負の遺伝相関が認められ、骨軟骨症病変度の重い個体は一日平均増体量が小さい傾向が認められた。(表1

3.

豚の肢蹄形状と骨軟骨症病変の関連については豚肢蹄形状と全ての部位の骨軟骨症病変との間に負の遺伝相関が認められ、肢蹄得点の高い個体は骨軟骨症病変度が軽い傾向が認められた。(表2

4.

豚骨軟骨症病変の遺伝的パラメーターについては上腕骨遠位端病変と大腿骨遠位端病変との間に高い正の遺伝相関が認められた。遺伝率は0.06〜0.34の値が推定され、評価した3部位中、上腕骨遠位端病変が最も推定値が高かった。(表3

[成果の活用面・留意点]

1.

肢蹄形状が良好な個体は骨軟骨症病変度が軽い傾向が認められ、骨軟骨症病変度が肢蹄形状から判断できる可能性がある。

2.

肢蹄得点、管囲、骨軟骨症上腕骨遠位端病変度について、中程度の遺伝率が推定され改良の可能性がある。

3.

本試験はデュロック種の分析結果であるため他の品種でこれらの形質間の関係を見る場合には別途遺伝的パラメーターを推定する必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

豚の骨軟骨症と肢蹄形状および脚弱との関連

予算区分:

県単

研究期間:

1999〜2001

研究担当者:

門脇宏、鈴木啓一、柴田知也、大畑博義、杉山稔恵、楠原征治

発表論文等:

なし


成果情報に戻る部会別Indexに戻る