研究所トップ研究成果情報平成13年度

食品廃棄物の養豚飼料としての利用


[要約]

 コンビニ弁当廃棄物は粗脂肪が多く軟脂等の影響が懸念されるため、養豚用飼料としてそのまま給与することは難しいが、簡便に市販配合飼料と配合し給与する場合、30%程度までの配合であれば、産肉性、肉質等にほとんど影響が無く、飼料としての有用性が確認された。

[キーワード]

食品廃棄物、食品リサイクル法、コンビニ弁当、養豚飼料

[担当]宮城県畜産試験場・種豚家きん部・原種豚チーム
[連絡先]0229-72-3101
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

 年間の食品廃棄物量は約1,940万トンにも上り、このうち食品メーカーが出す食品廃棄物は340万トンでリサイクル率は48%と比較的高いが、事業系生ゴミは600万トン、家庭生ゴミは1,000万トンにも上るがリサイクル率は0.3%ほどで、残りのほとんどは焼却や埋却されている状況にある。2000年5月には食品メーカーや事業系生ゴミのリサイクルを推進するため、大企業を対象として食品廃棄物を肥料や家畜飼料にするよう義務づける食品リサイクル法が施行された。
 このような中、リサイクル飼料給与による豚への影響を明らかにすることを目的に、コンビニエンスストア弁当廃棄物の乾燥物を肥育豚に給与し、産肉、肉質について調査した。

[成果の内容・特徴]

1.

コンビニエンスストアからでた弁当や菓子パンなどの生ゴミを高温乾燥による酸化を懸念し、70度で4時間程度温風乾燥した物を使用した。成分は粗脂肪がかなり高く軟脂などの影響が懸念され、粗蛋白質もやや高いため、そのまま飼料として用いるのは難しく、市販配合飼料や単味飼料と配合して用いるのが望ましい(表1)。

2.

市販配合飼料に30%及び50%配合し、肥育豚に給与した。噂好性もよく、発育等産肉性においては通常飼料給与とほとんど差がなかった。肉質については、保水性、肉色、柔らかさなどにおいては差が認めらなかったが、軟脂の要因となる背脂肪融点や脂肪酸不飽和度では差が認められ、特に50%配合においてはその差が顕著であった。従って、市販飼料との配合では30%程度までならほとんど影響なく利用が可能である(表2図1)。

3.

食味についても、やわらかさ、弾力性、多汁性、かおり、味、総合評価の6項目について比較テストを実施したところ各項目ともほとんど差が見られず、給与による食味の低下は全く見られなかった(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1.

コンビニ弁当などの食品廃棄物のリサイクル利用方法として、養豚用飼料としての活用は非常に有効である。ただし、特に粗脂肪分が高いことから大麦などの単味飼料や市販配合飼料と配合することが必要である。また、パンくずなどの利用も有効かと思われる。

2.

今回供与した飼料では水分が高く、保存性には難があり、乾燥温度や時間を再検討する必要がある。

3.

実際流通に移るに際しては、その過程でカビや細菌による汚染、異物混入あるいは添加物の残留に留意するほか、食品脂質は劣化し易いため、特に注意が必要である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

スーパーデュロックを利用した高品質豚肉生産に関する試験

予算区分:

県単

研究期間:

1999〜2001

研究担当者:

柴田知也、鈴木啓一、日野正浩、豊島たまき、門脇宏

発表論文等:

なし


成果情報に戻る部会別Indexに戻る