天水利用による放牧水源の確保技術
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[要約] |
遊休農地等を放牧利用する際の飲水確保技術として、天水利用施設を放牧地内に造成し放牧牛へ天水の給与を行った。その結果、期待した給水量を確保でき、施設の造成・管理方式を確立することができた。 |
[キーワード] |
遊休農地、放牧水源、天水利用施設、造成コスト |
[担当]福島畜試・草地飼料部、福島農試・経営部
[連絡先]024-593-1221
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい] |
遊休農地等では家畜の飲水確保が困難な所が多く、放牧利用の際に水源問題が障害となりやすいため、草地試験場山地支場(現畜産草地研究所山地畜産研究部)で開発した方式を参考として、天水利用施設の造成と管理方式を確立する。 |
[成果の内容・特徴] |
1.
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施設の概要;傾斜地に広げたシートや家畜管理舎等の屋根を用い、雨水を擂鉢状に掘り下げた貯水槽に集水する。貯水槽は遮光して水質を保持し、貯水槽から給水所までは落差利用の配管をする。施設の造成例として、遊休桑園放牧地に造成した施設の概観および概要を図1および表1に示した。
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2.
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施設の設計方法;施設の規模は月間平均降水量および放牧頭数によって設定する。例えば月間平均降水量125mmの福島市の場合、成牛10頭に1か月分の給水が可能な施設は次のように設計する。
1)貯水量;頭数×1日飲水量×30日×予備量(4割増で想定)
=10頭×30L×30日×1.4=約13,000L
2)集水面積;貯水量/放牧期の月間平均降水量=13,000L/125mm=約100m2
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3.
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貯水・集水シートの選択;可塑剤を含有しない不透明シート(酢酸ビニルエチレン共重合フィルム)が施設の造成に適しており、貯水用には0.45mm、集水用には0.32mm厚のシートが軽量で表面の摩擦力があり、傾斜地での作業安全面で問題がない。
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4.
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造成コスト;図1の各施設造成にかかる費用合計は、施設Aが365,747円、施設Bが181,411円であった。施設の使用可能年数を5年と想定すると、1頭当たりの単年度費用負担額は、施設Aで7,315円、施設Bで7,256円であった(表2)。
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5.
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貯水の水質;貯水部の水質はパイプハウスで遮光する方式が最もよく、給水部の水質は沢水と遜色なかった(表3)。また、放牧牛に給与した場合も疾病の発生は認められなかった。
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[成果の活用面・留意点] |
1.
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遊休農地を放牧利用する際の飲水確保技術として利用できる。
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2.
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冬期間は降雪によるパイプハウス等の破損を防ぐため遮光シートを外し、配管内の凍結による破損防止のため管内の水は除く。
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3.
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施設の保全と安全対策のため、施設外周に有刺鉄線等を設置する。
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4.
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衛生管理のため水質検査を行い、必要に応じて貯水の浄化を行う。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名: |
中山間地域の遊休農地、転作田等を活用した黒毛和種育成技術の確立(4)中山間地域の肉用牛放牧技術体系の現地実証試験 3)桑園及び転作田の放牧利用のための水源確保技術の現地実証と経営経済評価
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予算区分: |
国助成(地域基幹)
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研究期間: |
2001〜2003年度
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研究担当者: |
大槻健治、渡辺有策、武藤健司、伊藤純一
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発表論文等: |
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