|
[背景・ねらい] |
|
東北地方には多くの草地があり、畜産振興の重要な拠点として位置づけられている。しかし、その大半は造成後20年以上を経過しており、草地管理が行き届かず、雑草の侵入、急傾斜地の土壌浸食等、荒廃化の危機に瀕しているところもある。こうした草地を再編整備するために、機械作業が困難な急傾斜地を含めて様々な立地条件に柔軟に対応できる草地更新技術が求められている。そこで、東北農業研究センターで開発したシードキューブ成形散布機を用い、急傾斜草地への対応も可能な不耕起草地更新作業システムを開発する。 |
|
[成果の内容・特徴] |
|
1. |
草地更新作業システムの作業手順は以下のとおりである(図1)。
1)あらかじめ、シードキューブ材料(表1)の混合作業場所を決めておく。
2)最初の散布地から30〜40m後方に散布機を、散布地から150m圏内に散布機の動力源として空気圧縮機を、それぞれ配置し、散布機と空気圧縮機とをエアホースで連結する。
3)上記1)の場所でシードキューブ材料を混合し、散布機の配置場所まで運搬する。
4)シードキューブ材料を散布機ホッパへ投入し、散布機噴管を操作してシードキューブを散布する(写真1)。
5)散布作業終了後、次の地点まで散布機を移動し、上記2)〜4)作業を繰り返す。 |
2. |
この作業システムでは、資材の混合に1名、資材の運搬及び散布機ホッパへの投入に1名、散布機の噴管操作に1名の最低3名の作業人員を要する。本作業システムで使用しているシードキューブ成形散布機は、堆肥の種類や混合組成の異なる資材でも、成形・散布できる。 |
3. |
公共草地内にある土壌浸食の進んだ急傾斜荒廃草地60aに対して、計2.8トンのシードキューブを散布した(2000年9月初旬実施)。実作業能率は、7〜9a/hであった。堆肥と化成肥料等の混合した試験区、堆肥のみ使用した試験区ともに、播種一ヶ月後には牧草の発芽が確認され、越冬後には更新牧草の定着が認められた(表2)。 |
|
|
[成果の活用面・留意点] |
|
1. |
従来の機械作業が困難な15度以上の急傾斜地や、牛道が著しく発達した階段状草地においても、草地更新作業が可能である。 |
2. |
急傾斜地における運搬作業には、傾斜地適応性の高い運搬手段を使用する。供試面積が広い場合(60a以上)には、混合する資材が多量となり手作業では労働負担が大きくなるので、市販の混合機などの導入により省力化を図ることが望ましい。 |
|