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[背景・ねらい] |
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農域生態系の土壌中には、土壌伝染性病害菌を摂食して発病を抑制する小動物が棲息する。この発病抑制機能は土壌病害の生物的防除に有効であると考えられ、トビムシ類がリゾクトニア菌を摂食して苗立枯れ症を抑制することは明らかとなっている。トビムシ類と同様に土壌中に棲息するササラダニ類において、菌食性の種を明らかにするとともに、菌食性機能による土壌伝染性病害の発病抑制効果を確認する。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
畑地利用部(福島)の圃場から採集したオトヒメダニ科のササラダニ、アヅマオトヒメダニ(Scheloribates azumaensis)は、リゾクトニア菌(Rhizoctonia solani)の菌糸、菌核を摂食する(図1)。本種は、リゾクトニア菌を餌として継代飼育が可能である。 |
2. |
継代飼育中のアヅマオトヒメダニを用いたリゾクトニア菌による苗立枯れ症の抑制試験(ポット試験)では、4菌株中3菌株に対して有意に発病抑制効果を示す(図2)。 |
3. |
圃場に多く棲息するオトヒメダニ科の1種、ハバビロオトヒメダニ(Scheloribates laevigatus)を用いて抑制試験を行ったところ、前種と同様に発病抑制効果を示す(図3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
苗立枯れ症の生物的防除としての新しい知見であり、防除手法を確立するための基礎知見となる。 |
2. |
アヅマオトヒメダニは大量培養が難しく、現段階では施設土壌等への導入は困難である。また、ハバビロオトヒメダニの飼育はできていない。 |
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