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花色素分析を活用したトルコギキョウの育種手法


[要約]

 目的の花色を得るために、両親の花色素を分析し、それをもとに交雑組合せを決めることは効率的な育種手法である。

[キーワード]

トルコギキョウ、育種、花色、F1、花色素、HPLC

[担当]秋田農試・野菜・花き部・園芸育種担当
[連絡先]018-881-3330
[区分]東北農業・野菜花き
[分類]科学・普及


[背景・ねらい]

 トルコギキョウは元来固定品種が主流であったが、近年ボリュームがあるF1品種が主流になっている。しかし、従来の手法は両親の交雑後代を見ないと目的の形質が安定して得られるかどうかわからず、効率的でない。そこで、両親の花色素分析を行い、それをもとに目的の花色を得るためのF1親の組合せを決定し、育種効率を上げる。

[成果の内容・特徴]

1.

花色素は、定法により抽出し、フォトダイオードアレイ紫外可視検出器付きのHPLCを用いて分析する。

2.

親候補の黄緑花色系統30個体は、ピーク1〜4をもつタイプとピーク2〜4をもつタイプに分けられる(図1)。

3.

ピーク1〜4は、吸収スペクトル特性から花色素のフラボノール配糖体と考えられる。その中で、溶離時間の早いピーク1は、他の3ピークより長波長側の358nmに吸収極大値がある(図2)。このため、ピーク1はミリセチン配糖体、ピーク2〜4はケンフェロール配糖体と考えられる(参考図)。

4.

もう一方の親候補はペラルゴニジンを含む白地にピンクの覆輪花色系統である(参考図)。

5.

F1が目的の黄緑地にピンクの覆輪花色になるのは、ピーク1(ミリセチン配糖体)をもたないタイプを片親に用いた場合で、ピーク1をもつタイプを片親にした場合は目的の花色とならない(表1)。

6.

目的の花色が得られるF1親の組合せを決定できるこの手法は、育種期間の短縮に有効である。

[成果の活用面・留意点]

1.

この手法はフラボノールを含まない系統には適用できない。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:

ブランド花き・地域特産花き等の新品種育成

予算区分:

県単

研究期間:

1996〜2001年度

研究担当者:

間藤正美、佐藤孝夫

発表論文等:

育種学研究4 (別1) P155


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