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ヤマノイモ属植物を食害するヤマノイモコガ類の発生実態


[要約]

 青森県内で栽培されるナガイモ及びツクネイモの加害種はナガイモコガであり、トコロの加害種はヤマノイモコガである。両種は、前翅後縁の白色三角紋等の観察結果と寄生植物によって識別が可能である。

[キーワード]

ヤマノイモ属栽培種、ナガイモコガ、ヤマノイモコガ、発生実態、識別方法

[担当]青森農林総研・畑園試・病害虫防除室
[連絡先]電話 0176-53-7631、電子メール hataenshi@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 従来からナガイモの主要害虫として知られてきたヤマノイモコガは、その形態や食性からナガイモ群(Dioscorea batatas)に寄生をみるナガイモコガ(Acrolepiopsis nagaimo)であることが指摘された。一方、ヤマノイモコガ(A.suzukiella)は、トコロ(オニドコロ;D.tokoro)やジネンジョ(ヤマノイモ;D.japonica)に寄生するものとして区分された。
 このため、青森県内で栽培されているヤマノイモ属栽培種の加害種を明らかにするとともに、ナガイモコガとヤマノイモコガとの外観的な簡易識別方法を検証する。
[成果の内容・特徴]
1. ヤマノイモ属栽培種"ナガイモ"及び"ツクネイモ"の茎葉から採集された個体群は、雌雄の交尾器の形態特徴からすべてナガイモコガである(表1)。
2. "トコロ"から採集された個体群は、ほとんどがヤマノイモコガであるが、"トコロの茎葉及び種子"からトコロミコガ(A.issikiella)も確認されている(表1、表2)。
3. ナガイモコガとヤマノイモコガとは、前翅長、地色、前翅後縁の白色三角紋、前翅前縁の白条線紋、前翅頂部の外縁湾曲並びに湾曲部白条紋の観察結果と寄生植物により、識別可能と考えられ、特に前翅後縁の白色三角紋に明瞭な差異が認められる(表1、図1)。
4. 一方、トコロなど野生ヤマノイモ属植物においてはヤマノイモコガのほか、トコロミコガも混在することから交尾器の調査が必要である。
[成果の活用面・留意点]
1. "栽培ジネンジョ"からナガイモコガが採集され、「ジネンジョにはヤマノイモコガが寄生する」という既報とは異なる知見が得られ、この点については再度検証を要する。
2. 現在ヤマノイモコガとしての既登録剤は、ナガイモコガに対する試験結果であったと考えられることから、その防除効果に問題はないが、今後、適用登録害虫名の変更が必要である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:青森県におけるヤマノイモコガ類の発生実態
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:及川健、松田正利、成田治、佐藤正和