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産卵鶏飼料における飼料米配合率
[要約]
飼料米はトウモロコシに100%代替できる。飼料米の配合率を60%まで増加すると、卵黄色はカラーチャートで配合率10%当たり0.4 ずつ低下するものの、全卵中脂肪酸含量のn-6/n-3 比が低下し、鶏卵生産量、その他卵質等には影響を及ぼさない。
[キーワード]
産卵鶏、飼料米、産卵率、飼料摂取量、卵黄色、全卵脂肪酸含量、孵化率
[担当]
青森県・農林総研畜試・養鶏部
[代表連絡先]
電話0175-64-2231
[区分]
東北農業・畜産・家畜栄養・生理・鶏
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
養鶏用飼料のトウモロコシはほぼ100%を輸入に依存しているが、近年急激な価格高騰と安定的輸入の不透明感から鶏卵生産者は経営存続に危機感を強めている。そこで、水田基盤に基づく飼料米の利用促進、養鶏経営の安定のため、飼料米がトウモロコシに代替できる配合率及び卵中栄養成分に与える影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 生存率、産卵率、平均卵重、子の孵化率、日産卵量、卵殻強度及びハウユニットは飼料米配合の影響が認められない(表1)。
- 飼料摂取量、増体重、飼料要求率は飼料米配合率を高めると増える傾向がある(表2)。
- 卵黄色カラーチャートは、飼料米配合率10%当たり0.4 ずつ低下する(図1)。また卵黄色L*は増加、a*及びb*は低下する(表2)。
- 全卵中脂肪酸含量は、飼料米配合率を高めると、飽和脂肪酸及び1 価不飽和脂肪酸が増加し、多価不飽和脂肪酸が低下する(図2)。
- 多価不飽和脂肪酸は、リノール酸等n-6 系列脂肪酸が低下する一方、ドコサヘキサエン酸等n-3 系列脂肪酸が変化しないため、n-6/n-3 比は8 前後から5 前後に低下する(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 転作田や遊休田などが有効利用でき、わが国の飼料自給率が向上する。
- 飼料米を確保するため、地域の耕種農家等と連携した利用体制を確立する必要がある
- 国産飼料であることから鶏卵需要の増大が期待できる。また、全卵脂肪酸n-6/n-3 比が日本人の適正摂取値内(1〜5)になることから通常卵と差別化できる。
- 産卵鶏の養分要求量を満たすように他飼料原料の配合割合を調整する。
- 卵黄色が薄くなるので消費者の啓蒙に留意する。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 飼料米の給与が鶏の産卵および卵質に及ぼす影響
- 予算区分
- 委託
- 研究期間
- 2007 年度
- 研究担当者
- 西藤克己、小原孝博、信岡誠治( 東農大農)