研究所トップ研究成果情報平成19年度

ブドウ「シャインマスカット」の無核栽培における花穂整形法

[要約]

ブドウ「シャインマスカット」の無核栽培における花穂整形は、開花始期に主穂の最下部4cm程度を残すと果房重600g程度の高品質の果房が得られる。また、主穂先端の形状に帯化、分岐等の異常がある場合は、上部の支梗を利用しても、商品性のある果房生産が可能である。

[キーワード]

ブドウ、シャインマスカット、無核栽培、花穂

[担当]

山形農総研セ・農生技試・果樹研究科

[代表連絡先]

電話 0237-84-4125

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

ブドウ新品種「シャインマスカット」は外観、食味とも良く、無核栽培が可能な白系の大粒種で、今後の普及が期待されている。大粒種ブドウで高品質生産を図るためには花穂整形法の確立が重要となることから、「シャインマスカット」の無核栽培に適した花穂整形法を開発する。また、場内の「シャインマスカット」において、2005年から花穂の先端が帯化したり分岐する形態異常がみられはじめたため、その場合の対応技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「シャインマスカット」の無核栽培における花穂整形は、開花始期に主穂の最下部4cm程度を残し、着粒は40〜50粒/房にすると、果房重600g程度の高品質の果房が得られる(図1表1図2)。
  2. 「シャインマスカット」は、年次により主穂先端が帯化したり分岐する形態異常が発生する場合があるが、その場合の対応は以下のとおりにする。
    1. 軽度な異常であれば、異常な部分(先端1〜2cm)を切り詰め、その上部4cm程度を残すと、最下部を残した場合と同等の品質の果房が得られる。その場合、収穫期の果房はやや横幅が広い房形になる傾向がある(図1表1図2)。
    2. 重度の異常で主穂の利用が困難な場合は、上部の支梗の中から十分な長さのものを選び先端を4cm程度に整形すると商品性のある果房が得られる(図1表1図2)。
    3. 支梗を利用した果房は、主穂を利用した果房より着粒や果粒肥大が劣る傾向があるが(表1図2)、満開期〜満開3日後のジベレリン処理時にホルクロルフェニュロンを加用すると着粒が増加し、品質が向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 支梗を利用する場合は、主穂の下部を使う場合より開花期が2〜3日早いので、ジベレリンの処理時期に留意する。
  2. 摘房は10房/坪を目安に7月中旬までに実施する。
  3. 本試験は、ブドウ系統適応性検定試験における樹(ウイルス;GRSPaVを保毒)を供試して行った結果である。
  4. 各年とも雨よけ栽培とし、無核化のための植物成長調整剤の使用は、ストレプトマイシン剤の散布処理とジベレリンの浸漬処理2回を実施した。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
ぶどう新品種「シャインマスカット」の安定生産と長期貯蔵技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2005〜2007年度
研究担当者
工藤 信