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岩手県の黒毛和種在胎日数の現状と育種価および適合率

[要約]

岩手県における近年の黒毛和種在胎日数の平均は、分娩予定日の推定に用いられている285日よりも約4日長い。産子性別、生年、生月、産次、地域別に在胎日数を比較検討するとともに、育種価を推定し、予測在胎日数との適合率を比較した。

[キーワード]

黒毛和種、在胎日数、種雄牛

[担当]

岩手県畜研 種山畜産研究室

[代表連絡先]

電話0197-38-2312

[区分]

東北農業・畜産

[分類]

行政・参考

[背景・ねらい]

現在、黒毛和種の分娩予定日は、種付年月日に285日を加えて推定しているが、近年、この方法で推定された分娩予定日と実際の分娩日とが大きく異なる事例が多数報告されている。そこで、繁殖農家に有益な情報を提供するため、現状の在胎日数を把握するとともに、在胎日数に対して影響を与える要因について検討し、遺伝率および育種価を推定し、予測在胎日数について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 岩手県の在胎日数は年々延長傾向にあり、産子生年別では、約20年間で2日程度長くなっている。平成14年から平成19年の平均は289.1±4.7 日であり、現在分娩予定日の推定に用いられている285日より約4日長い。雄は雌より約1日長く、産子生月別では夏よりも冬が約1日長く、産次別では産次が進むにつれて約2日長くなる。近交係数の上昇による影響は大きくない(図1)。
  2. 在胎日数の遺伝率は、0.31と中程度である。岩手県内で利用されている主な種雄牛の在胎日数育種価は-2.84日〜3.91の範囲である(表1)。
  3. 種付年月日に285日を加えて分娩予定日を推定した場合(従来の方法:モデル1)の±2日範囲の適合率は27%であり、289日を加えて分娩予定日を推定した場合(分析平均:モデル2)の適合率は39%であり、簡易方法としては、289日で予測した方が分娩予定日の精度が高い。一方、モデル3を用いて分娩予定日を推定した場合の適合率は46%であり、より精度の高い予測ができる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 分娩予定日を提示する場合に、より高い精度での情報を提供できる。
  2. 社団法人全国和牛登録協会から提供を受けた岩手県内で登録された雌牛の繁殖成績のうち、種付年月日と分娩年月日が明記されている産歴データのうち、外れ値を取り除いた421,885頭分の在胎日数を用いた(産子生年:昭和56年12月〜平成20年3月)。育種価の推定には1形質アニマルモデルBLUP 法(産子性別、産子生年、産子生月、産次、地域を母数効果、同一腹の効果を変量効果)を用いて分析を行った。
  3. 実際の分娩にあたっては、分娩徴候(乳房の張り、体温の変化等)を観察して総合的に判断する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
県有種雄牛の利用および能力調査
予算区分
県単独
研究期間
2002〜2008年度
研究担当者
藤村和哉